【解剖】謎解きイベントのつくりかた

はじめまして。

AnotherVision 9期のあさぎなぎさです。

 

突然ですが皆さんは実際に現地で行われる謎解きイベントに行ったことがありますか?

私たちAnotherVisionはもちろん、SCRAP、タンブルウィード、よだかのレコード、すゞひ企画などなどいろんな団体がリアルな空間で行われるイベントを開催しています。

そんな体験型イベント、一体どうやって作られているのでしょうか?

「スタッフは何人くらいいるのか」「どんな役割があるのか」「どれくらいの時間でつくっているのか」

この記事ではそんなイベントのつくりかたを全力で解剖していきます!

 

 

…とはいえ「お前は誰なんだー!何目線ー!?」ってなるかと思うのでちょっとだけ自己紹介させてください。

 

名前はあさぎなぎさ。

実は下の名前はもともと違ったのですが「暗殺教室からの脱出」という公演に参加した時に身内ノリで名前変えたらそれが定着しちゃった~という感じです。

(原作の暗殺教室の主人公の名前がなぎさっていうんです。それよりもこの「暗殺教室からの脱出」、2015年の公演らしいです…あれ…いまは2021年…)

 

普段は舞台芸術の分野で美術をやりながら制作や舞監を目指しています。

すごく雑に紹介すると演劇などの舞台装置のデザインをしたり、大道具小道具をしたり、公演のための準備をしています。

大学でもこれを専攻しています。

 

こんな感じで[謎解きイベント以外]を作っている私が[謎解きイベント]のつくりかたを全力で考えたらどうなるの!?という記事になっております。

 

 

長い前置き失礼しました。

早速、解剖していきたいと思います。

 

 

 

第一段階:パーツ分け

 

謎解きイベントというものを試しにパーツ分けしてみましょう。

大きく3つに分けてみます。

 

①謎解き

②空間

③制作

 

①はそのまま。

謎解きの内容自体です。小謎、大謎、ストーリー、ギミック…などなど。

 

②はその空間です。

例えばプロジェクターで映像投影、別に小部屋を作って謎に使う、小道具を作って没入感アップ!みたいな感じ。

 

③は制作です。

今回はあそこの会場にしよう!とか今予算何割使ってます~とか1日何人のスタッフで回せるかな~って考えること。

 

3つに分けるとこんな感じ。

すでにイベント作り大変そうな雰囲気が漂いまくっておりますがちょっとづつ掘り下げてみましょう。

今回はこれらにどれくらい人が関わっているのかの話を軸に考えてみます。

 

 

 

第二段階:コンテンツ制作

 

①の謎解きに該当する部分を掘り下げていきます。

まずは公演の内容。これが決まらないと何も始まりません。

 

ということでストーリーをまず作っていきます。

ストーリー性がない公演も中にはありますが、それはそれで例えば「ゲームをプレイするこのタイミングで難しいボス問題だそう!」みたいな流れは考えなきゃいけないので、外せない仕事です。

流石に一人で考えるのは難しいので仮に2人で作っていることにしてみましょう。

 

《ストーリー制作/テキスト 2人》

 

 

次にそのストーリーに合わせた謎を作っていきます。

こちらも1人では難しすぎる…ということで2人で作ってみます。

 

《謎制作 2人》

 

 

すでに4人…ここまでくると意見をまとめるのも一苦労です。

これからさらに増えていく部署も考えるとまとめる人が必要かもしれません。

 

《ディレクター 1人》

《サブディレクター 1人》

 

 

さて、次に作った謎を印刷したり映像で見せたりするためにしっかりとデザインをしなければなりません。

お客さんに分かりやすくて見やすいもの、そしてストーリーにあったデザインをする。

そんなデザイナーさんも必要です。

 

《デザイナー 2人》

 

最近の謎解き公演ではタブレットの使用も多く見られます。

サイトを作ったり、システムを管理する。そんな技術面を担うスタッフも必要です。

 

Webデザイナー/システム 1人》

 

 

このように多くの人の手によって謎解きは作られます…!

と言おうと思いましたがまだ①。そうこれだけでも①。

一体何人が関わっていくのでしょうか。

それでは次を見てみましょう。

 

《現状スタッフ数:9人》

 

 

 

第三段階:空間制作

 

謎はあるが紙に印刷したものを会議室の真ん中に置いておくだけではお客さんは家でやるのとなんだ変わりありません。

それを[体験]に導くために必要なのが[空間]です。

 

まずは謎に使う小道具を立体化してみましょう。

紙にブロックが印刷してあるより、実際のブロックを組み立てる方がワクワクしますよね。

ということで小道具さんが必要です。

 

《小道具 2人》

 

 

次に会場が公演の内容に合わせてみましょう。

研究所なら理科室の机みたいな机にしたいですし、廃墟なら壁をコンクリートみたいに見せたい。

そんな大道具を作る人も必要かもしれません。

 

《大道具 2人》

 

 

しかし、そんな会場もただあるだけではリアルさに欠けます。

物語の中で救急車が出てきたらサイレンの音が聞こえた方がリアルだし、夜になったら照明が暗くなった方がリアルです。

そんな演出面を担当するスタッフさんがいて欲しいです。

 

《演出 1人》

照明デザイナー/オペレーター 1人》

《音響デザイナー/オペレーター 1人》

 

 

さらにはお客さんを迎え、ゲームを進行するゲームマスター

謎の全体像を把握し、イベント全体を見れる大事な存在。

つまりは司会も必要です。

 

《司会進行 1人》

 

 

物語に入り込むために、スタッフの服装は揃っていた方が良いと言えます。

例えばディズニーリゾートやユニバーサルスタジオ、謎解きで言えば東京ミステリーサーカスも場所やアトラクションによって制服が異なりますよね。

そんな大事な服の部分を担う人も必要そうです。

 

《衣裳 1人》

 

 

場合によっては役者さんや映像オペレーターさんも必要ですが今回は一番シンプルな形として割愛してみましょう。

すると合計9人!

そう謎解き制作と同じくらいの人数が必要になってきます。

この先どうなっていくのでしょうか。

 

《現状スタッフ数:18人》

 

 

 

第四段階:公演制作

 

公演を行うために運営側のスタッフが必要です。

これを舞台業界では[制作さん]と読んでいます。

さらに

票券:チケットの販売、告知、管理

広報:宣伝、プレスリリース、記事仕上げ、

運営:当日の整列、当日パンフレット、時間管理

などなど細かい仕事に分かれていることが多いです。

 

《制作(票券/広報/運営) 3人》

《現状スタッフ数:21人》

 

 

 

整理していくと、シンプルなものでも20人以上のスタッフが必要そうです…大変だ…

さらにここからかかる時間を逆算してみましょう。

 

当日運営・仕込み・バラシ(会場を元の状態に戻すこと):1週間

デバック/運営練習:3日

美術/衣裳製作/デザイン:2週間

謎/テキスト:2週間

企画/人事:2週間

予備日(印刷発注/日程調整/休日等):1週間

 

つまり8~9週間が《最低でも》必要です。

月で言うと1ヶ月半強といったところでしょうか。

 

[結論]

 

つまり!!!

公演を作るには最低でも《2ヶ月近い時間をかけて20人以上の人で作る!》必要がありそうです。

※作品によってかなり増減はありますし、規模感にもよります。ただあくまで基準としての個人的に編み出した数値です。

 

かかる時間に対して公演はわずか3~5日間程度…ほんとに瞬間の芸術みたいなところあります。

イベントを作るのはあまりにも大変です。

それでも作り続けるのはきっと「自ら閉じ込められにやってくる記事の前のあなた」がいるからです。

そんな謎に狂わされた謎クラ達に最高の体験を提供するために、いつかの謎クラの私たちがクリエイターとなって作品を作り続けています。

この記事を読んだあなたがまた私たちの謎に挑戦したくださる日をお待ちしております。

 

中の人:あさぎなぎさ(@asa_758)