この記事を読んでもあなたの得るものはありません。

 

1.はじめに

AnotherVision9期の謎垢です。

この記事は、AnotherVision Countdown Calendar 2021の23日目の記事です。*1

この記事に書かれていることは基本的に事実ではなく私の意見です。所属団体としての意見ではないという部分についても留意をお願いします。

 

2.新規性について

〜〜について語る、といった記事において、新規性のある部分は存在しない、良くても既存のことの言い換えになっているだけのことがほとんどです。*2これを「虚無記事」と呼んでいます。後述しますが、虚無記事を書くこと自体が悪だという主張ではないです。

もう少し前提を整理すると、これは私の認識の話で、興味の近い分野について、実用に直結しない(例えば、技術記事でない)記事や文章などを読むときに、私が新規性があると思うことについてです。前提が異なる場合はそもそも記事を読まなかったり目的が違ったりするため扱いません。

個人の経験(則)や意見について新規性とどう関わるかというと、それが興味分野における(見た目上の)最適化などで導かれるものであれば多くの場合自明で新規性とはなりませんし、ある特殊な事例を挙げられるものであればその特殊さによりその個人特有のものとして扱われるので新規性とはなりません。この文から分かるように、私にとって新規性とは、ある程度普遍的なものを指しています。

 

3.自明な謎解きについて

謎解きは最初(無知の状態)が一番面白いといいますが、実際そうだったように感じます。謎解きを始めた当時は年齢的に何も考えられなかったこともあるとは思います。*3
そのフェイズを抜けた現在、私が謎解きで謎自体が面白いと思うことは少ないです。それは、自明な謎しか解けないからです。

他の面白さの軸は他人の存在になります。私は特に謎解き公演のことは高価なコミュニケーションツールだと思っており、現在謎解きやその他趣味を続けている理由の1つにこのコミュニティが好きだからというのはあります。同様の理由で早押し謎解きは好きです。
いわゆる綺麗な謎や実装力が見える謎は製作者の自己満足に見えてしまい、よっぽど技巧的なものでなければ嫌いな立場で、嫌いでなくとも凄いの軸に入ります。

ここでいう「自明」とは、解法に論理的に辿り着く手法が存在し、それらを分解したものが私の中に存在する、ということです。
ただ、自明でも解けるというわけではなく、パターンを見落としたりして解けないことも多々あります。ここが厄介な部分で、(これは特に大謎で顕著なことですが)商業謎解きでは唯一解性の担保のために論理的に考えた時に解けるようになっているはずで、そのためには(難しい論理は存在しない認識で)基本的に見落としを誘発するように設計されているはずです。そのため「見落としで解けない」は言い訳として通用しないのです。

ひらめきでしか解けない、もしくはひらめきでないと探索量がかなり大きくなる謎を作るのは難しいため、これもしくはただ自明な謎が主流になるのは自然なことのようにも感じられますが、
確かに見落としに気づいた上でそれを回避できた時に嬉しい人はいるかもしれませんが、私が謎解きに求めていたものとは大きく違いました。

解けない謎の大部分が知っているパターンの見落としである現状、解けない謎に時間をかけることは無意味なことのように感じます。謎と探索量と探索時間の関係についてはいつか考えたいところです。

現状で、私が謎解きの面白さを享受するためにできそうと思われることを4つ挙げます。
A:ヒントや解説を積極的に見る
B:公演で他の人に解いてもらう
C:個別(設定別)に適化された抜け道系謎を大量に解く
D:自明部分を広げられるものを解く
後ろほど実践難易度(そのシチュエーションに出会えるかどうか)が上がります。

Aは一番手軽ですが、時間短縮できる代わりに劣等感が手に入ります。
Bは自明でないものについて解けたように感じられる唯一の方法です。ただ、実際は解けていないという事実に気がつけば結局劣等感が押し寄せてきます。また、これはAとも共通することですが、解けなかったものが自明なものの見落としであれば面白くない上自明なものを見落とさない方法しか手に入らないためほぼ無意義です(その情報にほぼ価値がないため)。自明でないものであっても、自明に落とし込めた場合はそれを自分で導けなかった劣等感が押し寄せるだけ(ただこの経験はしたことがありません)で、落とし込めない場合はそれを落とし込めない劣等感が押し寄せてくるため、どの場合でも長期的に楽しいとはなりにくいです。
Cは見落としより抜け道が良い(自明で適度に見つけにくい)ということでもありますが、たつなみさんがTwitterで出題されているパズルにある程度満足度を持つことに対しての言語化になります。分野は違いますがbaba is youも似た括りになるのかなと思います。ただ、「大量に」とあるように、1つ1つの満足度は微小です。
Dはかなり望ましいですが、そのようなものに出会ったことが一度しかありません。欠片というのですが。ただ、広げた自明部分はその後は自明として扱われるため、振り返った時に面白いとは感じにくいです。欠片に関しては、自明を広げる方法が確立できていない(自明の解像度が低い)ものが数問存在し、それらの問題のために継続しておすすめできている状況です。

私は自明でない謎を解くことができる人々、もしくは自明でない部分がない人々を尊敬し、とても羨んでいます。自明な謎は解けないことを見落としのせいにし、自明でない謎が解けない上自明に落とした時に劣等感を感じるような私は謎解きが向いていないのだとは思います。

 

4.LINE謎「Reverse」について

LINE謎「Reverse」は、ひらめきに焦点を当て、一般向けに作った謎解きです。3月に公開し、3月いっぱいで解説を公開する予定でしたが色々あって書けなかったため普通に解説を流します。なので、自力で解きたい方は自衛なり今解くなりお願いします。
こちらのツイートにあるリンクからLINEアカウントを登録できます。
また、AV7期の粗茶(ちゃそ)さんによって画竜点睛という雰囲気が似ているLINE謎が作られています。こちらは難易度はより
低いため、あわせてどうぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、ここから解説に移ります。LINEに「きがとあ」と送信するとあとがきが見られます。

それぞれの問題において、「変換用文字列」が存在し、答えの文字列を変換用文字列によってreverse変換したものが問題文として出ています。
reverse変換とは、変換用文字列における前からn文字目の文字を後ろからn番目の文字に置き換える変換です。変換用文字列に含まれない文字は変換できません。例えば、「うえ」を「あいうえお」で変換すると「うい」となります。また、「いし」を「ししまい」で変換すると「し(まい)」となるように、変換用文字列に複数含まれる文字を変換すると、複数の文字を変換した文字を逆順に並べたものに()を付けたものになります。また、ししまいの例で「いし」と「まし」を区別できないように、復元可能性は保証されていません。

1問目はなんとなくで大男を送り、2問目は大男が答えの理由を探った上でよくある可能性を試す、10問目は(ここまで解いた前提で)よくあるパターンを試す、とこれらはいいのですが、3問目で変換用文字列が五十音のパングラムでなくていいと気付くところから9問目まで、「与えられた文字を含むいい感じの文字列を探す」というよく分からない何かをする必要がありました。

()内の文字の多さなどからある程度文字列の長さが予想できるぐらいで、変換用文字列の探索は張らないとほぼ不可能で、文字的なひらめきが必要になると考えています。あとがきでは「なんとなく解ける謎」とあって、前の項にある「自明」ではないけれどひらめきで解けるということの言い換えになります。あとがきで触れている導線とは「ここに着目すれば解ける」という部分です。それが自明と関係ないのはかなりケースバイケースのもの、もしくは特殊な脳内探索を必要とするものだからです。

Reverseのコンセプトは私の考える理想の謎解きにある程度近いものですが、前の項で触れた「自明部分を広げる」という部分において、具体化されて(もしくは解像度を高められず)それは満たされないような気はしています。ただし、自明でないコンテンツは私には当然作ることができないため、理解の外側で作る必要があるということではあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5.まとめ

2.から4.までの事項が見ようによってはとりとめのないことにも見えるためまずまとめておきます。まず、全て私の認識の話です。
「無」「新規性」「自明」「ひらめき」といったキーワードが出てきました。ここでいう「無」とは、情報量がないということではなく、情報を受け取った時にそれを分析して知(形式的な記憶知識ではない)の構造に新たに含めることがないということです。既に知の構造に含まれているものであったり、理解できないものであったり、特殊すぎるものであったりすると無になります。知の構造にあることは自明で、新規性はありません。
2.は受動的に知の構造を広げることについて、3.は半受動的に知の構造を広げることについてです。ちゃんとは触れていませんしできませんが、消費でない製作は能動的に知の構造を広げることだと考えています。消費の製作とはいま自分の中にあるアイデアを出す形に沿って整形することです。
4.は知の構造を広げさせようという試み(この言語化自体は結果的なものですが)についてです。それがひらめき依存になるが困難であるというのは3.で触れています。

2.にあった、「虚無記事を書くこと自体が悪だという主張ではない」というのは、私の求める記事を書いてもらうのには無理があり、虚無記事として読む読み手の私に問題があるということです。普通そのような記事というものは他人へインスピレーションを与える効果がある、つまり能動的に読む必要があります。いわゆる掛け合わせのようなものです。私はこの掛け合わせに対しても完全に新規でないことに対して強い嫌悪感を持っているのですが、そこが結果的に自分の性格と合った言い訳に使われていたということなのです。謎解きが面白くない、劣等感、などに対しても同様の話ができます。

これらを把握してもらった上で、最初の一文「この記事を読んでもあなたの得るものはありません。」の意図を説明します。

私に能動性がないため、私を構成している考え方などの知の構造は他人由来のものとなります。なので、あなたから見て私は無です。他人の知の構造の媒介者として見ることもできますが、そんな効率の悪いことをする必要はないでしょう。

あなたが私が無であることに気づいたなら無として扱うことをおすすめします。

 

まだ見ぬ知の構造を求めて謎解きやその他コンテンツに触れることは虚しいことに見えます。私は無であることに対してどうも思っていませんし、無でなくなることはできないと思っています。

*1:大遅刻しました。明けました。

*2:新規性に関しては論文を読むと良いらしいですが、あいにく学問に向いた能力やスキルを持っていませんでした。私は東大生ではありません。

*3:謎解きは中3で始めましたが、高3になるまでは本当に何も考えられませんでした。

いつから朝でどこからネタバレなの?

こんばんは。あるいはおはようございます。

AnotherVision6期のろく(Twitter: @6_6_Roku)です。

 

これを書いているのは12月31日の午前4時ごろなのですが*1、この時間帯って夜なんでしょうか、朝なんでしょうか。

3時はなんとなく夜っぽいし、5時はなんとなく朝っぽいけど、4時はちょうどその中間にあってどっちなのかよくわからない。個人的にはそんな印象です。

 

俗に言うクソデカ主語になってしまいますが、境界ってものはだいたい曖昧ですよね。

 

この記事では、そうした曖昧さを持つうちの一つ、謎解きにおけるネタバレの境界について考えていきます。

ちなみにこれはネタバレなんですが、この記事の結びは「わかりませんでした。いかがでしたか?」です。お楽しみに。

 

 

目次

 

よく聞くやつ

まずは足掛かりとして、謎解き公演の終了時によく言われるネタバレに関しての注意を見てみましょう*2。よく聞くのは

 

  • 「この会場に訪れて初めて知ったことは基本的に全てネタバレだと思ってください。」
  • 「後にプレイする方の楽しみを奪ってしまうような行為はお控えください。」
  • 「ただし、『楽しかった』『面白かった』など、ネタバレにならない感想は大歓迎です。」

 

あたりでしょうか。アナビでは概ねこんな感じのことを言っている気がします。そして僕の場合はこれらがもりぺーさんの声で再生されるので、たぶんタンブルでも言ってるんだと思います*3

 

さて、これらが厳密にネタバレの境界を規定してくれていればもうこの記事で書くことはなくなるのですが、そうもいかないようです。

まず1つ目。かなり強い制約条件ではありますが、"基本的に"という表現が曖昧さを残しています。とはいえ、これが無いと3つ目と矛盾してしまうんですよね。楽しかったかどうか、面白かったかどうかはその会場を訪れてから知るはずなので。

ではその3つ目はどうかと言うと、"ネタバレにならない感想は"とあり、これ自体がネタバレを規定してくれるものではありません。

2つ目も、"楽しみを奪ってしまう"かどうかはネタバレにあたるかを判断する際の指標の一つにはなりそうですが、何をしたら楽しみを奪ったことになるのかは依然としてはっきりしません。

 

こうして見ると、ネタバレかどうかの判断基準は意外と公演参加者の裁量に委ねられていることがわかります。

 

 

ネタバレ前提(というほどではない)謎

「楽しみを奪うかどうか」という手がかりは得たものの、やはりまだ曖昧さが残ってしまっているので、今度は実際に謎を使いつつネタバレの境界を探っていきましょう。

ここからは、これを読んでいるあなたにも手伝っていただきます。

 

そして突然ですが、ここで「ある謎を解くにあたって、その謎に関するある発言が有用であれば(ヒントとなってしまえば)、その発言の内容はネタバレである」という主張を提案してみます。

これは謎解きにおける体験的な側面を無視して謎についての側面だけを考えることにし、かつ「楽しみを奪うかどうか」を「解くにあたって有効な情報となるか」と定めることで、少しでも基準を明確にしようと試みたものです。

 

提案とは言いましたが、この記事は会話ではないので*4、あなたが提案を飲んでくれたものとして勝手に話を進めます。

 

具体的な流れの説明です。

まず、下にスクロールしていくと一枚謎があるので、その謎を少し考えてみてください。

解けなさそうだったらさらにスクロールしてください。あなたにとってヒントになるかもしれないしならないかもしれない情報があります。それを見て、さらに考えてみてください。

それでも解けなさそうだったらさらにスクロールしてください。僕の出題意図のようなものとふんわりヒント解説のようなものが混ざったコメントがあります。

これを4問にわたって繰り返します。

 

情報を見た段階で初めて解けたなら、きっとその情報はあなたにとってネタバレにあたるものだったのでしょう。

情報を見る前に解けてしまった場合や、情報を見てなお解けなかった場合でも、その情報がネタバレにあたるかコメントを読みつつ考えてみてもらえると嬉しいです。

 

少しだけ注意事項があります。

  • 問題文を省略してしまいましたが、どの謎でも「?」にあてはまる単語を答えてください。
  • それぞれの謎には想定される答えがあります。この記事を読んでいるあなたなら解けるはず。
  • 謎の内容はネタバレ禁止です。特に気をつけてほしい部分では「ツイートでのネタバレ禁止」とわかるように示しておくので、ご協力をお願いします。

     

 

とりあえず1問目は練習のようなものとしてお気軽にどうぞ。

 

1問目

f:id:Another_Vision:20211231113640p:plain

 

 

 

 

 

情報

f:id:Another_Vision:20211231113742p:plain

この謎に対応するタグで検索した結果だと思ってください

 

 

 

 

 

コメント

謎がバズったときのリプや引用RTにありがちなやつ。でもヒントが無くて解けないときはこういうところを漁っちゃう自分がいるのも事実。

まあこれはネタバレですよね。隠せてないし。

 

解けない人はまず白と黒を"逆転"させて、さらにもう一度別の"逆転"を考えてみてください。

 

ちなみに2行目で…ではなく=を使っているのは、…だと「CUTに対応するイラスト」が答えになっちゃうよなあという懸念からです。これは僕の好みなのであまり気にしないでください。

 

こんな感じでなんやかんや言いつつ徐々に答えに近づいていく文を書くので、解けずにコメントまで来た人はいい感じにスクロールを制御して頑張ってください。

この先だんだんと捻くれていきます。

 

 

2問目

f:id:Another_Vision:20211231114317p:plain

 

 

 

 

 

情報

f:id:Another_Vision:20211231114406p:plain

謎の見た目的には2ステップくらいありそうですが

 

 

 

 

 

コメント

ステップ数に言及するやつ。この場合はネタバレっぽい。

でも公演の感想として「途中のステップ楽しかった!」はありがちですよね。謎を解くのには使えないことが多いだろうけど、一応「複数ステップある」という情報は出てしまうわけで。それすらネタバレにあたるとする流派もありうるのかもな、と思って出しました。

 

1ステップで終わるらしいので、「3問の小謎+中謎」らしき見た目に騙されないようにしましょう。ABCを解く必要はありません。

小謎っぽいやつの答えがいらないとすれば、右下の欄には何を埋めたらいいのでしょうか。

 

ABCが表していたのは、小謎っぽいやつそれ自体でした。すなわち、右下に埋めるのは、まちがいさがし、スケルトン、クロスワード

もう少しちゃんとワードサーチしようかとも思ったのですが、疲れてたのでマスクと駿河でいいかってなりました。デバッガーが「駿河!?」ってなってて面白かったから結果的にはこれでよかった。

 

 

3問目

f:id:Another_Vision:20211231114515p:plain

 

 

 

 

 

情報

f:id:Another_Vision:20211231114539p:plain

「面白い!」はネタバレにならない感想ではなかった……?

 

 

 

 

 

コメント

文面自体は当たり障りなくても、言ってる人の情報が加わるとネタバレになりうるよな、と思ったやつです。

これ実は本当に僕に起こった話で、当然ここまで直接的ではないものの、謎解きの好みを知っているような親しい友人数人の「面白い!」という感想がヒントになってLINE謎が解けたことがありました*5。この記事を書こうと思ったきっかけです。

 

検索推奨とある謎なのに検索謎苦手侍が気に入っているということは、実は検索がいらないのでは、と考えられますね。

 

あとは検索推奨をひらがなにするとわかるはず。なんとなく年号っぽく見える並びにしたら答えが指数っていう微妙な感じになってしまいました。

 

 

4問目

f:id:Another_Vision:20211231170732p:plain

 

 

 

 

 

情報

f:id:Another_Vision:20211231114633p:plain

あの大人気企画で感想ゼロ!?妙だな……
誰も解けてないなんてことはないはず

 

 

 

 

 

コメント

一番やりたかったやつ。理屈が通ってるか若干怪しいですが。

何も言わないことすらネタバレになりうる、かもしれない。

明快に解説できるタイプの謎じゃないのでほどよくエスパーしてください。でもこれを情報無しで解いた人がいたらちょっとエスパーがすぎると思います。

 

検索しても何も出てこないということは、まだ誰も解けていないか、単に面白くなくて誰も感想を書いてないか、あるいは……?

 

前2つの可能性を消す根拠は特にありませんが、1問目の前にあった意味深な注意事項を思い出せれば、もう1つのそれっぽい可能性が浮かんできます。

 

それは、この謎に関して特に強くネタバレが禁止されている、というもの。

 

○、△、□をそれぞれカタカナ、ひらがな、漢字に対応させられるような文言がありましたね。埋めてみると、たしかに黒丸はレターとなります。

この謎を解いた瞬間、その人はこの謎に関して「ツイートでのネタバレ禁止」であるとわかったはずです。それゆえ感想ツイートが無かったのでしょう*6

 

 

さいごに

謎を出しつつネタバレの境界を探ってみたわけですが、「楽しかった」や「面白かった」といった無難な感想はおろか、(かなり限定的な状況とはいえ)何も言わないことすらネタバレになりうるのなら、もうどうしようもないですね。

今回の記事に1つ収穫があったとすれば、「ネタバレの境界は一概にはわからない」とわかったことでしょうか。

 

念のため付記しておきたいのは、僕は別に「感想ツイートするな!」と言いたいわけではない、ということです。4問目をわざわざ作ったのはこのためでもあります。

制作側は感想が届くとめちゃくちゃ嬉しいです。まだ参加してない人が感想を見て参加を検討することもあるでしょう。謎解き界隈の盛り上がりには感想ツイートは不可欠だと思っています。

 

とはいえやはり他の人の楽しみを奪わないようにだけ気を付けたいですね。ふりだしですが。

人によっても状況によってもどこからネタバレなのかは変わってしまうので、その都度最善を目指して考えていくしかなさそうです。

 

 

というわけで、結局ネタバレの境界はよくわかりませんでした。いかがでしたか?

 

 

*1:なお僕の担当は12月26日の予定でした。今年こそは締め切り守りますってえっふぃに誓ったのに……。

*2:これ自体がネタバレの定義に関するネタバレだと言われてしまうと、詰みです。

*3:言ってなかったらごめんなさい。僕の脳内のもりぺーさんがあらゆるテキストを読み上げようと暴走しているのかもしれません。

*4:あせろらの記事、良かったですよね。あれを読んだせいで気合が入ってしまって謎まで作る羽目になりました。

*5:ヒント落ちてないかな〜と思いながら感想ツイートを漁ってたら見つけた形なので、彼らは何も悪くないです。

*6:検索結果が変わらない以上、まだ誰も解けていない可能性や、面白くなくて感想が無い可能性も否定できません。しかし、それらを仮定しているとこの謎は解けないのです。ネタバレ禁止だから感想が無いのだ、と仮定した場合のみ解くことができます。この謎を世界で最初に解いた人も、誰も解けていないわけではない、と仮定して解いたことになります。どういうことですか?僕もよくわかりません。

世界の果ての図書館で、勇者たちに本を授ける/あるいは、AVCCの取りまとめについて

最初にこれだけ言わせてほしい

 

 

 

 

 

 

 

今年のAVCC、癖が強すぎないか???

──取りまとめ歴2年目より

 

 

 

 

 

 

 

はじめに

こんにちは。初めましての方は初めまして。7期のえっふぃです。

 

まずは自己紹介から。代表作は2019年駒場祭周遊『裏商店街 思い出通り』、そして謎解きゲームブック『東大×ナゾトキ×ゲームブック ハテナ王国の冒険 〜竜と魔法の書〜』の二つです。制作指揮を務めていました。

 

他にもデザイナーとして『COMMANDER.exe』『#アナビのエナジーを体感せよ』『カリトルリドル』の制作に携わりました。

note.com

最近だと『セント』のお手伝いをちょっとだけ。あとは内部の仕事を少々。非公式ではありますが、アドベントカレンダーの取りまとめもやっています。

AnotherVisionにいないときは経済学を勉強しています。好きなのはマクロ経済学。特に物価、金融政策、国際金融に興味があります。経済史も好きです。

経済学を勉強していないときはマーダーミステリーを遊んでいるか、Venus of TOKYOにいます。剣持、ドラゴ・ヴァルスローダ、セリア・ペネトレッタ、ヘンゼルあたりの名前にピンと来る方。感想戦しましょう。あと魔王富豪って素敵ですよね。

昨年・一昨年は試験勉強も兼ねて非常に読みづらい文章を書き上げました。今年も昨年同様に何かしら社会科学っぽい文章を書こうと思いましたが、ここ数日思うところがあったので別のテーマを選びました。

 

本稿では、「世界の果ての図書館で、勇者たちに本を授ける」というテーマについて掘り下げてみます。もっと平易な書き方をすれば、アドベントカレンダーの取りまとめをなぜ私がしているのか」というテーマになります。もしかしたらこのテーマを見てとあるアニメキャラクターを思い浮かべた人もいるかもしれません。答え合わせは後ほど。

 

免責事項です。本稿はあくまで一メンバーの意見にすぎず、AnotherVisionとしての意見、およびその他所属団体の意見を代表するものではありません。長い自分語りと思想の塊なので、苦手な方はそっと閉じてください。多少のわかりづらい表現や論理の飛躍は大目に見ていただけますと幸いです。

また、少々お堅い文章になってしまったので、少しゆるめの文章を読みたい方は脚注へどうぞ。 *1*2

 

それでは、本編に参りたいと思います。ちょっと長めかつ入り組んだ文章が多めですが、お付き合いいただければ幸いです。

 

#謎沼 を聞いて、ここ数年を振り返って

「総合芸術だと思っていて」

「こっからがスマブラだから」

「総合芸術感が、みんなで作っていく感がすごく強かったんだよね」*3*4

「今まさに動き出して欲しいし、動けるような環境になってきた」

 

AnotherVisionの遠い先輩と、AnotherVisionの後輩二人*5の音声を聞きながら、眠たい頭で訳もわからず涙を流していました。悲しさや悔しさといった負の感情による涙ではありませんでした。何かに突き動かされた、そう形容するのが一番適切かもしれません。

 

コロナ禍によって学生の生活はひっくり返りました。弊団体も例外ではありません。ふと振り返ってみると、ここ2年の間で私たちは新作の公演型コンテンツが作れていません。持ち帰り型のコンテンツやWebコンテンツは制作しましたが、公演は『近未来研究所Aether』『Revolver』などの過去のコンテンツを再演するのが精一杯でした。*6

 

対面での活動が大きく制限される中で、私たちは様々な課題に直面しました。既存のやり方ではノウハウの継承がうまく行かない。大学の施設が使えなくなり、場所を確保しなければならない。そして何より、作りたいものが作れない。

 

AnotherVisionは、技術とエネルギーを持て余す状態が続きました。

 

AnotherVisionの立ち位置の揺らぎ

コロナ禍は、AnotherVisionにアイデンティティ・クライシスをもたらしたのかもしれません。といっても、私たちを襲ったのは明確な危機感ではなく、閉塞感、諦め、先行きの見えなさ、ぼんやりとした不安といった感情でした。世の大人たちが戸惑い、迷う中で、私たちも同じように迷いました。制作や団体のあり方について少し立ち止まって見直す人も増えました。

しかし、AnotherVisionのあり方が改めて問われるようになったのは、コロナ禍の影響だけではないのかもしれません。じわじわとAnotherVisionのあり方に影響した別の要因があったと考えられます。それは「謎解き制作への入り口の多様化」です。

 

以前と比べて、現在では謎解き公演を打つまでのハードルは少しずつ下がっているように見えます。コロナ禍による影響を除けば、制作団体の立ち上げや自主制作の発表について様々な前例が増える中でより公演が打ちやすくなっているのでしょう。一枚謎やLINE謎であれば、個人での発表はかなり容易になりました。

個人での制作が容易になるにつれて、弊団体の従来の意義は徐々に弱まってしまいます。以前は学生団体の中ではAnotherVisionがある意味特権的な強さを持って公演が制作できていましたが、今やその特権的な立ち位置は揺らぎつつあります。弊団体のモットーは「世界に謎を仕掛けます。」ですが、今となっては世界に謎を仕掛ける “だけ” であればAnotherVisionに入らなくても可能になっているのかもしれません。

 

コロナ禍、そして謎解き制作への入り口の多様化を受け、AnotherVisionの従来の立ち位置はじわじわと揺らぎました。

"主人公を導く司書を務めていた賢者"

ここで、話題を大きく変えて、メテオラ・エスターライヒというキャラクターを紹介したいと思います。アニメ『Re:CREATORS』に登場するメインキャラクターのうちの一人です。

recreators.tv

アニメ『Re:CREATORS』は「アニメやゲームのキャラクターが現実世界に登場したら」というテーマを扱っています。そのため、多数の作中作が登場します。メテオラ・エスターライヒはその作中作の一つ、RPG『追憶のアヴァルケン』のNPCです。彼女はとある事件をきっかけにゲームの世界から現実世界に来てしまいます。その後は主人公を補佐する名脇役として大活躍します。

作中作『追憶のアヴァルケン』では、長い冒険の旅の終盤に差し掛かったところに図書館が出現します。その図書館の司書がメテオラ・エスターライヒであり、彼女はプレイヤーにアイテムを授ける役割を担っています。作中で彼女が披露するずば抜けた洞察力や知識は、司書としての経験からくるものなのでしょう。

 

なぜ唐突にメテオラ・エスターライヒを紹介したのか。それは彼女の物語中の役割に、AnotherVisionの存在意義、そしてAnotherVisionの中における私の役割の理想像を見出したからです。長い冒険の旅の果てに図書館があり、そこにあるアイテムが勇者に授けられる。この構造から見出した私の役割の理想像とは「冒険の旅の果てにある図書館を整理し、維持して、そこにあるものを勇者に渡す」ことでした。そしてAnotherVisionの存在意義は、この冒険の果てにある図書館の存在意義に例えられます。

勇者から司書へ

これまでの私は勇者としてコンテンツの制作に携わりました。学生、そしてコンテンツ制作という長い旅を通じて、多くを経験させていただきました。そしてコロナ前のAnotherVisionを知り、コロナ禍による変容を直接目にしました。例年通りすら満足に知らないまま、例年通りでは通用しない環境で育ちました。すでに先輩たちによって開拓された世界があることを知りながら、別の道を開拓しなければならなかったのです。

しかし昨年後輩ができ、そして今年は後輩の後輩ができました。人生の大先輩たちに比べれば高々二世代分の後輩にすぎませんし、団体の中でもOB・OGの方に比べれば後輩の数は少ないかもしれません。されど、二世代分の後輩。ここまでくると否が応でも先輩として振舞う機会は増えていきます。そして先輩の宿命として、後輩に道を譲りながら、先輩として何をするか、あるいは何をしないか、についてより正確な答えを出す必要があります。

 

果たして私が得たものが将来の勇者にどの程度意味を持つのか。この問いは、後世の勇者たちが活躍するまで答えが出ない問いです。加えて、弊団体は非常に優秀な、頭の回る後輩が毎年入ってきます。私以上の洞察力やコンテンツに対する解像度・知識を持つ後輩も珍しくありません。*7*8彼らにとっては、私の存在そのものが邪魔となりえます。しかも、仮に私が邪魔であったとしてもその情報は上下関係の圧力によって私の耳に入りにくいものになります。

 

他方で、私が先輩たちが得たものから多くを学んだことは確かです。*9*10先輩たちの全てが記録されていたとは思いませんが、記録されたものには何かしら記録されるに足るものがあると考えています。さらに、過去のコンテンツ、そして過去の謎解きの世界の延長線上に現在のコンテンツがあり、現在のコンテンツは将来のコンテンツに対する姿勢に少なからず作用するとも考えられます。

 

先輩から学んだ後輩としての自分と、後輩に道を譲らなければならない先輩としての自分。二つの立場の間で折り合いをつけた結果として、「司書」という役割を理想として掲げるようになりました。一つの情報源として、必要に応じて知っているものを開示し、必要がなければしまっておく。既存の知を整理する。そして、その知を記録し、保存する。これらの役割が、私の団体内での最後の一仕事になりそうです。

世界の果ての図書館で、勇者たちに本を授ける

AnotherVisionの従来の立ち位置の揺らぎ、そして私の「司書」としての役割。大きく異なる二つの主張を結びつける大きな流れとは、「図書館と司書の存在がAnotherVisionの立場を形作っていく」という主張です。

 

謎解き制作への参入障壁が低くなる中で、AnotherVisionが謎解きの世界で何かしら意味を持つとすれば、それは過去の制作物と制作経験に裏打ちされた、団体に共有される知に根差すものになるでしょう。ノウハウに限らず、価値観、思考体系、趣味嗜好を含めた幅広い意味での過去の軌跡の先に、団体のアイデンティティが成立していると考えられます。そしてその知は、記録され、整理され、保存されることによって価値を生み出します。過去の勇者たちが自ら開拓した道を見直し、思考過程や経験を整理し、団体に還元する。整理された知を必要に応じて利用しながら、次の勇者が新たな道を開拓する。この繰り返しが可能になることで、団体が存在意義を持つのです。これは、過去の勇者が記録したものを図書館に納め利用可能なものにする構造と似ています。

 

この図書館と司書の出現は、暗に勇者の出現を所与としています。毎年何かしらの旅に挑む勇者たちが現れ続けることで、AnotherVisionの知のプールがじわじわと拡大していくのです。*11*12

 

「世界に謎を仕掛けます。」に止まらず、「世界に謎を仕掛け続けます。」を目指した時に、長い時系列の中でAnotherVisionが団体として力強いプレゼンスを持ちます。AnotherVisionは謎解きコンテンツに関する知識・ノウハウを集約し、世界に謎を仕掛け続けられるようにするための装置として機能している、あるいは機能すべきなのかもしれません。*13

 

で、なぜ私がアドベントカレンダーの取りまとめをしているのか。それは、AnotherVision Countdown Calendarは、図書館の一種だと考えているからです。ここには過去の勇者たちが編纂した資料があり、将来の勇者たちが自由に閲覧できるようになっています。*14謎や制作についての思考過程を記したものもあれば、趣味を語ったものもあります。それらは全て過去の団体の一面を描くものであり、団体のアイデンティティの形成に寄与するものです。非公式の仕事でありながら取りまとめをやっている理由は、AVCCが団体のアイデンティティをより強固にすると考えているからです。*15*16

 

おわりに

複雑なことを複雑に書いてしまったので、少し整理して終わります。

 

コロナ禍や謎解き制作の大衆化でAnotherVisionの立ち位置が揺らぐ中、団体での経験を各メンバーが記録し、保存し、共有することで、AnotherVisionの組織としてのアイデンティティがより強固なものとなる。その記録を将来のメンバーが目にし、利用することで、AnotherVisionは世界に謎を仕掛け続けられるようになる。これらの主張を踏まえた私の仕事とは、AnotherVisionの一員として記録を団体に適切に還元することである。

 

こんなところですかね。

 

最後に、少し勧誘を。

過去の勇者たちへ。未来の勇者たちのために、もうちょっとだけ図書館を充実させてみませんか?

現在の勇者たちへ。AnotherVisionには知のプールだけでなく、技術職という強力な武器や、一緒に冒険に出られる仲間が揃っています。もう少し大きな冒険の旅へ出てみませんか?

未来の勇者たちへ。私たちと一緒に、世界に謎を仕掛け続けてみませんか?

 

まだ生まれぬあなたの世界はこれから幾万の作品、銀河の星々のような群に加わるべくきっとあなたを待っている。そのためにも研鑽を。

 

長い私の自分語りに付き合ってくださり、ありがとうございました。

 

おまけ:リンク集

AnotherVisionや、謎解きコンテンツに関する2020年までのAVCCの記事で、私が好きなものを貼っておきます。

<2017年>

avcc.hatenablog.com

avcc.hatenablog.com

avcc.hatenablog.com

avcc.hatenablog.com

<2018年>

avcc2018.hatenablog.com

avcc2018.hatenablog.com

avcc2018.hatenablog.com

 

<2019年>

avcc2019.hatenablog.com

avcc2019.hatenablog.com

avcc2019.hatenablog.com

avcc2019.hatenablog.com

avcc2019.hatenablog.com

<2020年>

avcc2020.hatenablog.com

avcc2020.hatenablog.com

avcc2020.hatenablog.com

avcc2020.hatenablog.com

avcc2020.hatenablog.com

 

*17

*1:さてさて。はてなブログの脚注は遊びがいがあることが知られていますが、今回も思う存分脚注で遊んでいきたいと思います。脚注では今シーズンのAVCCで僕が好きな記事を紹介していきましょう。なんせ僕は全部の記事に目を通しているので。手始めにこんな記事はいかがでしょう?僕は最初この記事を見た時に目を疑いました。

avcc2021.hatenablog.jp

*2:あとそろそろこの記事、アクセスできるようになってるかな。

avcc2021.hatenablog.jp

*3:総合芸術たる謎解き公演には、謎以外にも様々な要素が必要です。今年はイラストに関する記事が出ましたね。

avcc2021.hatenablog.jp

*4:舞台っぽい話であれば、こんな記事も読んでみると面白いかもしれません。

avcc2021.hatenablog.jp

*5:後輩二人の記事はこちらから。二人まとめて紹介したのには、ちょっとした理由があります。

avcc2021.hatenablog.jp

avcc2021.hatenablog.jp

*6:そう言えば同期が同じような課題感を抱いていたっぽいですね。

avcc2021.hatenablog.jp

*7:天才な後輩の記事その1。

avcc2021.hatenablog.jp

*8:天才な後輩の記事その2。

avcc2021.hatenablog.jp

*9:2年前の駒場祭で僕がお世話になったD監修の記事は……先輩、これ、なんですか?

avcc2021.hatenablog.jp

*10:同じく2年前の駒場祭のM監修をしてくださった先輩の記事は……先輩、これどういうことですか?

avcc2021.hatenablog.jp

*11:駒場祭で役職を持つのは、非常に勇気のいることです。『セント』のマネージャーを務めたijの記事はこちら。

avcc2021.hatenablog.jp

*12:同じく、『Qキング・アドベンチャー』でマネージャーを務めたソルトの記事はこちら。

avcc2021.hatenablog.jp

*13:続けることの偉大さは、トップバッターの時点で言及されていましたね。

avcc2021.hatenablog.jp

*14:どうやらAnotherVisionに入る前からAVCCの存在を認知していた人もいたようです。

avcc2021.hatenablog.jp

*15:取りまとめを2年連続でやった結果、心の中に僕を飼う人が増えました。僕を心の中に飼っている人その1。

avcc2021.hatenablog.jp

*16:その2。

avcc2021.hatenablog.jp

*17:さて。最後の脚注ぐらいはちゃんと脚注らしく使いましょうか。

僕はそれっぽいことをそれっぽくいうのが得意です。誇張と言い訳が得意です。なのでここに書かれていることは、本当に等身大の僕が書こうとしたのかもしれないし、9割誇張かもしれません。「世界の果ての図書館で、勇者たちに本を授ける」ことを本当に僕がモットーとしているのかは、僕にも分かりません。

あと冷静な頭で読み直すと、この文章ちょっと中二病ですね。2周ぐらい回って多分大学生っぽい。その点も加味すると、いよいよこの記事の内容が胡散臭くなってきます。

そして、先輩が記録を残すこと、これは自己顕示欲を満たす手段でもあります。本当に後輩や団体に還元しようとしているのか、はたまた自分の自己顕示欲を満たす手段として建前上「引き継ぎ」を行っているのか。この問いには答えが出ません。無意識のうちに自己顕示欲を満たそうとしているのかもしれない。意識されるのであればなんとかして排除できますが、無意識であれば排除は難しいですよね。僕は……自己顕示欲についてはわからないけど、出しゃばりなのは分かっています。分かっていながら変に首突っ込んだりするからタチ悪い。

 

ただ、僕がこの団体が好きであって、好きであるからこそ還元しようとしているのは事実らしいです。それを示そうとする上で自己顕示欲も混ざっているのかもしれません。

私が私として、確かに生きたという場所が、即ち世界。
だから私は、私のいた場所もこの世界も、愛している。

僕は天才たちが集まってくるこの団体が好きなんだと思います。彼らが活躍できるように舞台を整えたい、というのが僕の本音なのかもしれません。

 

そういえば、この記事を書いている間に後輩が同じような仕事をしようとしていることを知りました。もう僕の仕事もないのかもしれませんね。

「謎解き公演の当日運営」に生を感じている

 

 

 

 

 

 

みなさんは、どんなときに生を感じますか?

 

 

 

 

 

 

 

僕は、公演の当日運営をしているときです。

 

f:id:Another_Vision:20211230030700j:plain

 

 

※この記事の内容はAnotherVision全体の総意ではありません。あくまでアナビの一員である僕がアナビの中でこう動いてるよ、という話であり、僕以外の人は違う動き方をしていると思いますし違う思想を持っていることと思います。

 

 

 

 

 

自己紹介します。

AnotherVision7期のyashと言います。

twitter.com

 

 

 

 

アナビの中での僕の認識は多分、

 

「変な格好でマーダーミステリーに参加している人」

 

後輩をガチビビらせちゃって反省してます

 

この格好で衆院選の投票行きました

 

衣装考える時間なくて安易にカエルマスクを使ってしまった

 

 

とか、

 

 

「変なブログを書いた人」

duck-post.hatenadiary.com

AVCCにリンク載せて怒られないか怖かったけど怒られなかった

 

 

とか、

 

 

 

 

 

あとは

 

「公演の現場で手を動かさずにウロウロしている人」

 

みたいな人だと思われていると思います。

 

 

 

 

 

 

…………いやサボっているわけではないんです。もしかしたらそう見えてるかもしれないけど。

 

言い訳をする前に、もう少しだけ自分語りをさせてください。

 

 

 

 

 

 

アナビが最後に単独で世に出したリアル新作公演は2019年11月の『パスティール』です。僕はこの公演で初めて制作進行や「当日運営」をしました。

f:id:duckpost:20211228193507j:plain

実はほんの少し背景のデザインをしています

 

初めて当日運営をして、これ楽しいぞ!向いてるぞ!と心踊らせていた1年生の秋。

そんな気持ちを打ち砕いてきたのが、コロナでした。

 

 

なんとコロナ禍のせいで、外部に向けた公演が一切打てなくなってしまったのです。

 

 

AnotherVisionは学生団体。4年ほどで構成員が入れ替わってしまいます。

持ち帰り謎をたくさん作ることでなんとか謎制作やデザイン・テキストなどのノウハウは引き継げるかもしれません。

 

anothervision.booth.pm

ここから持ち帰り謎買えるのでぜひお願いします励みになります

 

 

しかし、リアル公演だけは、リアル公演をしなければ引き継ぎができないのです。

このままだと昔の公演を再演することはもちろん、新作を作ることも難しくなってしまう。そんな危機感から、どうにか公演を打とうとずっと努力してきました。

 

 

そうして苦節2年、ついに公演が打てました…!

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、間違えました。こっちです。

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとか公演を打たなくてはという気持ちから、何度も公演実施告知をしては中止し告知しては中止しを繰り返していました。

チケット完売の23分後に緊急事態宣言要請検討中ニュースが流れて絶望したこともあったな

 

ちなみに『Revolver』公演中止ツイートの画像の中にも当時の悲痛なメッセージが書かれてますね。懐かし。

公演中止発表ツイートへの皆さんの暖かい声に本当に救われていました。

 

 

 

 

まあそんなこんなで最近久しぶりに公演を打てたわけです。僕は特に『Revolver』の運営をがっつりとしていました。

 

外部に公演を打てなかった期間中も何度かアナビ内部向けの公演で運営をしていたこともあり、あと運営のトップのなみ*さんがめちゃ強かったこともあり、まあまあいい当日運営ができたんじゃないかなと思っています。

 

 

 

そこそこ経験も積んできたし、コロナも収まりつつあるということもあり、今後は後輩たちに当日運営を引き継いでいきたいなと思っているところです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※ここから先、より具体的かつ現実的に「公演当日のスタッフ側の動き」についての記載があります。公演の「非日常感」などを重視するお客様が読むと、それを損なってしまう可能性がありますのでお気をつけください。

って書いておかないと怖いもんね。いや実際マジで気をつけてください。アナビの人は読んでね。

 

 

 

 

 

自己紹介終わり。

……ということで。やっっと本題です。

当日運営とはなんぞやということを書き連ねていこうと思います。

ウロウロするだけの仕事ではありません。

 

 

 

まず基本的には、

コンテンツの内容そのものを作るのが「制作」、内容が完成した後実際にお客さんに見せる部分が「運営」だと思っています。その中でも公演当日に行うのが「当日運営」です。

f:id:Another_Vision:20211230025116j:plain

いい感じの色を選ぶの難しかった

 

 

 

常設店舗を持っている謎解きイベント企業/団体の場合、コンテンツが始まるときに「立ち上げ」をしなければなりません。ルーム型の部屋を作ったりホール型の机やブースを準備したりマニュアルを作ってスタッフを育成したり。めちゃ大変だと思います。

基本的には毎日公演が行われるので、毎朝の準備や公演ごとの転換はなんどもなんども行われ、より効率的にブラッシュアップされていきます。

スタッフも日常的にスタッフをしている人たちが多いので、どんどん効率的になるでしょう。

 

 

一方、AnotherVisionをはじめとした常設店舗を持っていない謎解きイベント団体の場合。リアル公演をするならば、貸会議室やレンタルスペースなどを借りて行うことになります。このため、毎回必ず設営や撤収が必要になります。

設営撤収や公演間の転換のオペレーションについては、もちろんアナビ内で脈々と引き継がれてきている方法は存在しています。していますが、それをスタッフ全員に認識させることは難しいですし、常設店舗に比べると洗練されたものではないかもしれません。みんなが慣れる頃には全部の公演が終わっちゃいます。

毎年新入生が制作する公演などでは、スタッフをするのが初めてという人が多くいることさえあります。

まあここ2年くらいは新入生公演さえ出せていないんですけどね

 

まとめるとこんな感じ。

f:id:Another_Vision:20211230025021j:plain

yashは常設でも非常設でもちょいちょいスタッフしたことある立場です

 

 


常設店舗を持っていたり日常的に公演を行なっていたりする団体と比べた時のこれらのディスアドバンテージを解消するために、「当日運営」が常設店舗の人以上に頑張る必要があるというわけです。

適切に指示を出してスムーズに設営や転換をしたり、スタッフに適切なホスピタリティを教える時間を確保したり、スタッフの休憩時間を確保したり…といった具合です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

公演の裏側大公開!

公演当日は何が起こるのか。裏側をご説明しちゃいます。

 

まず朝。

早起きして全ての荷物を会場に運びます。謎が書かれた印刷物やブースを作るための暗幕や鉛筆や消しゴムや小道具や物販商品やらを全て運ばなければなりません。運び忘れがあったらおしまいなのでしっかりチェックリストを作って確認します。

 

ここから先はいろいろなことが同時進行するので全てを把握しなければなりません。

  • 荷物を運び入れる
  • 必要分を残して机や椅子を撤去する(会議室には机がたくさんあります)
  • 設営図に則りブースの設営(アナビでは主に何もないところに壁で区切られた部屋を出現させています)
  • PA設備の確認(映像や音声が正しく届くように設定しています。PA担当者に任せられることが多い)
  • 机や椅子の設営(机の上に鉛筆や消しゴムや謎を置きます)
  • スタッフのオペレーションの確認
  • などなど…………

 

やっと初回公演が終わったと思ったら、その瞬間から次の公演の準備のことを考えなければなりません。

  • 前の公演で使った紙類を捨て、小道具やラミネ類を集める(捨てるものと捨てないものを区別して確認するの大変なので、公演によっては司会が「お片付けのお願い」をしたりします。めちゃめちゃ助かってますありがとうございます。)
  • 小道具やラミネ類を消毒する(実はこれがかなり大変です。)
  • 各ブースに物を戻すなどする(そのブースの担当者に任せることが多いです)
  • 机の上に新しい謎などを置く(必ずダブルチェックも)
  • 掃除する(床に大謎で使ったアイテムやら紙の切れ端やらが落ちてたら嫌ですよね)
  • 会場の外に案内の人を派遣する(会場内では大声でネタバレ叫んで転換してるのに、次の公演に早く来た人が間違えて会場に近づいちゃったら最悪ですよね)
  • などなど…………

 

ちょっと書くのが面倒になってきたのでここまでにしておきます。

 

 

 

あと夜の撤収とか反省会が追加されて、だいたいこんなイメージです。

f:id:Another_Vision:20211230025157j:plain

(公演中も全力だけど)運営としては転換にも全力です

 

 

 

さて、あなたは当日運営の担当です。

公演当日はこれらの大量のタスクを漏らさず捌かなければなりません。

 

 

 

Q. どうすればいいでしょう?

 

 

 

 

 

 

A. 1人で全部やる

 

それができれば苦労しないわ。

 

 

 

A. 事前に各タスクの担当者を決めて綿密にタイムテーブルを作る

 

それも無理です。必要なタスクや必要な時間なんて現場で増減します。

 

 

 

 

じゃあどうするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A. 手を動かさずにウロウロする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これしかありません。(伏線回収!)

 

 

 

 

 

 

 

 

より正確に言えば、

 

 

A. 手を動かさずにウロウロして人に指示を出しまくる

 

 

です。

 

 

 

 

いま人が不足している場所を見つけたりまだ誰も着手していないタスクを見つけたりして、その場で暇そうにしている人を捕まえ、やるべきことをわかりやすく伝える。

 

これを繰り返しているだけで全てのタスクが終わります。いいえ、終わらせます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コツ

当日運営を実際にやるコツを列挙します。

 

 

手を動かさない

周りにいる人を手の代わりにしましょう。

口さえ動かせば何とかなります。

 

 

ウロウロする

困ってる人を探せる上に、困ってる人が自分のことを見つけやすくなります。

サボってると思われるリスクがあります。

 

 

人の名前を覚える
タスクを頼みたいときに名前がわからないと「あーそこの君!」とか呼ぶか肩を叩くかしか方法がありません。異性の肩叩くのはちょっと緊張しちゃうしね。

名前を覚えるだけで全てが解決するので覚えましょう。

 

 

困ったときは自分に聞けばわかる状態を作り、

困ったときは自分に聞けばわかるよってことを周知する

誰に聞けばいいかわからないことってたくさんあります。とりあえず自分に聞いてね!ってことを伝えましょう。

 

 

暇な人を探し、暇な人に声を掛けさせる

タスクは無限にあるので暇な人を探してタスクを渡します。

暇な人を探す手間は意外と大きいので、暇な人に暇ですと主張させると楽になります。

 

 

どこに何があるかを知っておき、

どこに何があるかを誰が知っているかを知る

なるべく物の定位置を事前に決めておくと良いです。特に転換で必ず出す謎の紙などはわかりやすいところに置きましょう。

「ハサミどこ!」「ゴミ袋どこ!」って声が聞こえた瞬間に「その机の上!」と叫べるようになるとベストです。

 

 

各所の進捗を把握し、

各所の進捗を誰が把握しているか把握する

定期的に各ブースの設営状況とかを聞きに行きましょう。「あと何分かかる?」とか「人増やせたら嬉しい?」とか聞くといいです。

やっていることが専門的すぎたり場所が狭かったりすると、人を増やしても嬉しくないこともあります。その場合は応援しましょう。

だいたい各ブースごとにリーダーっぽい人がいて、その人がその場の指示を出してくれている気がします。その人が誰かを把握しておくと、進捗把握がしやすくなります。

 

 

 

 

 

 

 

まとめるよ

こんな感じで、リアルタイムで発生する出来事を全て確認し、限られた人的リソースを適切に配分して公演時間までに全てのタスクを完了させるのが当日運営の仕事です。

 

 

 

 

 

 

……ゲームみたいじゃないですか?

 

 

 

 

 

 

リアルタイムで色んなことが起こるリアル脱出ゲームとか。

 

 

f:id:Another_Vision:20211229235011j:plain
※「リアルタイム」で検索して一番上に出てきたリア脱です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キッチンに食材が置いてあって次々と来る注文に合わせて料理を作って提供する的なゲームとか。

 

 

f:id:duckpost:20211228231437j:plain

まあ僕はこういうゲーム苦手なんだけど

 

 

 

 

 

 

 

 

もちろん正直めちゃめちゃ疲れるし、声も潰れるし、事前準備も大変だし、責任も重大です。

 

 

 

ただ、僕はこの仕事をしている間は本当に生を感じられるんです。

 

出てくる敵を、仲間たちに指示を出しながら全部倒していくの、本当に楽しいです。

 

こうして頭と体と動かしながら仲間と一つの公演を作る瞬間こそが、真に生きている瞬間なんだなと思います。

 

リアル公演でしか感じられないこの高揚感、これを僕や後輩がずっと感じられるように、これからもAnotherVisionには公演を打ち続けていってほしいと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に。

 

 

 

 

 

アナビの人たちへ。

僕はサボってないんだぞ!!!!!

 

 

 

 

 

そして皆さんへ。

早い時間に会場近くまで来ると容赦無くネタバレ聞こえてくるから開場時間までは駅とかで待っておくといいと思いますよ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

はてブの注釈、めちゃ見にくくないですか?こっちの方が見やすいよね。

もういくつ寝るとお正月

めんそーれ!


はいたい!すざりあ(@tk_aria)やいびーん。ゆたさるぐとぅうにげーさびら!

しにひーさしが、ちゃー、がんじゅーやいびーたんなー?

わんねーちゃーがんじゅーっしあっちょーいびーん、たげーにちばてぃいかやーさい!




PC版Chrome以外で読むこと考えないで書いたから表示崩れてても許してね。

続きを読む

ゲームの体験をより深くする「物語」を作りたい

1.はじめに

私と彼との関係は、「一心同体」という言葉で表すことができる。小さい頃から一緒だったから、私は彼のことを誰よりも多く知っているし、彼もまた、私の全てを知っているはずだ。私の人生は、もはや彼の存在なしに語ることはできない。

 

未来のことはわからないけれど、このままずっと、彼と一緒に過ごせたらいいな……。そう考えていた。

 

しかし、彼には、私に内緒にしていた秘密があった。今まで彼が私に見せていた顔は、彼の本当の姿だったのだろうか。私にかけてくれた言葉や、数々の贈り物は、彼の本心からのものだったのだろうか。それとも……。

 

目の前には、1冊の本がある。この本を開けば、彼の全てを理解できるはずだ。しかし、それは同時に、彼に対する印象が大きく変わってしまう可能性を秘めている。

 

「このままずっと、彼と一緒に過ごせたらいいな……。」

そんな私の願いは、叶わなくなるかもしれない。

 

長いこと考えた挙句、私は決断をした。私は本を……

 

 

 

 

 

 

こんにちは。AnotherVision 8期の「KaDi」です。この記事は、AVCC2021の12月15日の記事になります。大幅に遅れての投稿です。

 



 

たった今この文章を読んでいるみなさん、ようこそ。メタ視点のKaDiです。

こちらの記事ですが、なんと2万字あります。そのうえほとんどが既存のゲームの分析により構成されています。もしかしたら、途中で退屈になってしまうかもしれません。

 

そこで、こんなものを用意しました。

 

f:id:Another_Vision:20211230193323p:plain

なお、記事の最後にメタ視点の僕から答え合わせがあります。それまでにこのブログの秘密を見抜くことができたら、あなたは天才です。

 

では、この記事の何がおかしいのかを考えながら、このあとの文章をお楽しみください。

 

AnotherVision 8期のKaDiに戻します。

 



 

目次

 


2.自己紹介

  • ハンドルネーム:KaDi
  • 所属:
  • 年齢:20歳
  • 好きな食べ物:寿司(特にウニ)、抹茶味のお菓子

趣味について

謎解きや脱出ゲームなどのゲームの創作活動をしています。今まで作ってきたものを少し紹介すると、

AnotherVisionで、家にキットを届けて、家で遊ぶことのできる謎解き「アケ_テ」を作ったり、(↓こちらから購入できます。)

booth.pm

 

個人制作で、LINEの公式アカウントを使って遊べる謎解き「#新五十音表謎」を作ったり、(↓こちらから無料で遊べます。)

lin.ee

 

脱出ゲームが簡単に作れるアプリ「脱出ゲームメーカー」で脱出ゲーム「PROJECTOR」を作ったり、(※作者のDark_Hawaiiは私が昔使っていたハンドルネームです。)

dasshutsu.games

 

いろいろ作っています。

 

ただ、これらはいずれも技術的には簡単なものばかりです。ここ最近は、せっかくならwebサイト制作やLINE APIを本格的に勉強したり、アプリ開発のためのUnityおよびC#を勉強したりして、発展的なものを作りたいと考えています。たぶん次の春休みに何かしらやります。

 

多くの人がやっているAtCoderはたまにやっていて、

f:id:Another_Vision:20211213162854p:plain

こんな感じです。Pythonでやっています。まわりの強い人々と比べると全然ですね。

 

よろしくお願いします。

 

 


3. 物語を作りたい

さて、2021年がもうそろそろ終わりを迎えようとしていますが、今年一年で触れてきた様々なコンテンツのなかで、みなさんは、何が記憶に残っていますか?

 

謎解き、マーダーミステリー、イマーシブシアターのほか、映画、本、ライブなどのイベントなど、様々なものが記憶に残って、一つには決められないかもしれません。

 

僕の場合は、

などが記憶に残っています。

 

では、みなさんが今思い浮かべたコンテンツは、なぜ記憶に残っていますか、あるいは、思い浮かべたコンテンツの中のどんな要素が、あなたの記憶にコンテンツを刻んだのでしょうか。

 

僕の場合は、大きく分けると2つありました。

1つは、ゲームにおける「謎解き」の部分、すなわち何かよくわからないものの意味を理解する過程が、僕にとっては見たことがなく斬新だったコンテンツです。Song of Bloom、SPACE、ライアーゲームがこれにあたります。

 

そして、コンテンツを僕の記憶にとどめたもう1つの要素は、「物語」です。

物語により僕の心が動かされたコンテンツが、多く記憶に残っていることに気がつきました。特に、物語がゲームの一要素であり、ゲームのルールやデザイン、音楽などと重なり合って相乗効果を生み出したものが、強く記憶に残るようになっていました。

 

そんなわけで、良い物語に影響を受けた僕がここ最近でやりたいことの1つが、(特にゲームの中の一要素としての)「物語を作る」になりました。

 

しかし、僕がよく作っている「謎解き」や「脱出ゲーム」というジャンルには、物語があることで良さが増している作品が多いにもかかわらず、「物語は不要である」という主張がしっかりと存在しています。実際僕からしても、このコンテンツに物語は余計だな、と思うものが多くあります。

 

つまり、物語は、素人が中途半端にゲームに組み込むと、むしろ悪影響を及ぼしかねないのです。ならば、

 

ゲーム中の良い物語についてしっかりと分析をしたうえで、物語を作ってみよう!!!!

 

 

 

(頓挫する音)

 

物語を分析するとして、どんな分析をすればいいのだろう。そもそも分析対象の「物語」ってなんだろう。「良い物語」の「良い」とは具体的にはなんだろう。

そして、物語を作るとして、何を意識してプロットや文章を書けばいいのだろう。伏線回収、タイトル回収、やってみたいけど、どうやったら自然になるんだろう。

 

——子供時代から本をたくさん読んできたわけではなかったり、最近まであまり物語について考えていなかったりということもあり、「理論」と「実践」でいう「理論」も「実践」も全く持ち合わせていませんでした。

 

一時期小説家になろうに投稿していた短編小説は、あとから読み返したらただの駄文でした。

 

今のままでは良い物語の良いところのみを取り出してアレンジしようなんて不可能です。

 

まずは「理論」の方をなんとかしよう……!

f:id:Another_Vision:20211225193459j:plain

というわけで、本を買いました。右側はゲームデザイン関連の本、左側が今回のメインとなる物語の分析や制作に関する本です。

 

これらを読んで、物語の何がよかったのかということについて少しだけ言語化ができるようになりました。そこで、この記事では、

  1. 今年触れた、ゲーム内の物語が記憶に残った作品を複数取り上げ、「何が僕にとって良かったか」「ゲームと物語のつながりは何か」を言語化・分析する
  2. 言語化したものを、テーマごとにまとめてなんらかの結論を出す
  3. そこから、僕が良いと思う新しいゲーム内物語の展開を考えてみる

ということをやってみようと思います。ただし、物語の分析は何を見るかにより多岐に渡るため、ブログ記事という限られたスペースでは散らかった文章になりかねません。

そこで今回は、分析するテーマを

  • 物語の内容の分析
    • 各キャラクターの物語中の機能は何か
    • 物語の中で心が動いた瞬間は何で、それはなぜか
  • ゲームと物語の関係
    • ゲームのプレイヤーはどの視点にたってゲーム中の物語を見ているか
    • ゲームと物語がどのように調和していたか

に限定することにしました。分析をするゲームは、

  • ゲームジャンル「マーダーミステリー」
  • 原神より「無風の地に閉じ込められたら」
  • 「喪失メロディア

を選びました。上記物語において要素を分析したあとは、そこで得られたものから、何かしら物語が作れるでしょう。

 

では、物語にあまり触れたことのない人による「ゲームの体験をより深くする『物語』を作りたい」、はじまりです。

 


4. 『マーダーミステリー』の考察

マーダーミステリーとは

みなさんは「マーダーミステリー」というゲームジャンルを知っていますか?

 

簡単に説明すると、ミステリー小説の登場人物(=事件の容疑者)一人になりきり、他の人との議論によって、それぞれの人が持ってる目的の達成を目指すゲームです。ゲーム全体の雰囲気は、「物語」つきの人狼ゲーム、という表現が近いです。

 

基本となるゲームの流れはこちらです。

 

  1. ゲームを遊ぶ複数人で集まります。オンライン上や会議室、あるいはマダミス専用の会場などで遊ばれます。
  2. はじめに、GMゲームマスター)から、今回の事件の容疑者となる人物の簡単な情報(名前、年齢、職業など)が与えられるので、それぞれがなりきる人物を決めます。
  3. 各プレーヤーに、その人がなりきる人物のキャラクターシートと呼ばれる資料が渡されます。そこには、設定、秘密、行動、目的などが記されています。それぞれの情報は以下のような感じです。
    • 設定、秘密:あなたがどのような人物で普段何をしているのか、他の人とどのような関係にあるかが詳しく記されています。その中には、他の人が知らない情報や関係性も多くあり、今後の議論で隠さなければいけません。
    • 行動:事件の直前や事件後にあなたが何をしていたかが書いてあります。基本的にはあなたしか知りません。殺人事件の犯人であれば、どのように殺害したか、凶器をどこにしまったかなどが書かれています。
    • 目的:今後の議論におけるあなたの目的も書かれています。犯人なら、「自分が犯人だとばれない」、探偵など犯人以外なら「自分が犯人だと言われず、犯人を探し出す」の場合が多いですが、「大金を盗み出す」「恋人に告白してOKをもらう」など追加の目的が記されている場合もあります。
  4. 10分程度の時間で、一人でキャラクターシート読みます
  5. キャラクターシートをもとに物語内の人物になりきって他の人と一緒に議論をします。それぞれの人物は、自分のバレたくない秘密を嘘をつくなどして隠しながら、犯人の発見や目的の解決を目指します。
  6. 一定時間が経過したら、犯人だと思う人を多数決などで決めます。その人が犯人であれば犯人以外の人の勝利、その人が犯人でなければ犯人の勝利です。
  7. その後は、解説・感想戦です。他の人が何をしていたか、他の人の目的は何であったのかが、GMから解説を聞くなどして共有され、5. での会話を振り返ったり他の人のキャラクターシートを読みあったりします

 

より詳しく細かなルールが知りたい方は、こちらの記事が参考になります。あとは実際にやってみよう!

nazotoki-concierge.com

 

マーダーミステリーは、基本的に一度きりしか遊ぶことができません。

 

それはなぜかというと、何度か書いた「キャラクターシート」そして、さらに広くは、ゲーム全体のシステムや、人数・物語・設定などを総括したルールである「シナリオ」にの体験が一度きりだからです。

 

トリックが未知状態のミステリーは、本ごとに一度きりしか読めません。同じくマーダーミステリーも、事件内容・ゲームの人数・細かなルールがぞれぞれの「シナリオ」ごとに定まっており、同じものなどありません。「ゲームジャンル」でありながらシナリオごとの唯一性が高いのは、かなり特殊であるといえます。(同じことは、謎解きイベントにもいえるでしょう。)

 

「一度きり」のコンテンツの本質

マーダーミステリーの「一度きりの物語」がなぜ面白いのか、というのを考えてみましょう。

 

マーダーミステリーは、「ミステリー小説の登場人物になりきり演じる」ゲームなので、その面白さの一部は、ミステリー小説を読むときの面白さと共通しています。

 

では、ミステリー小説を読むことの一体何が面白いのか。

 

それは、真実を「知る」という行為であると私は考えています。犯人は誰で、どのような背景があり、どうやって犯行に及んだのか、それらを最後に「知る」瞬間がもっとも「面白い」という感情がうまれると思っています。

 

そして、「知る」という行為こそ、マーダーミステリーに限らず、一度きりのコンテンツの全てに共通する面白さの本質であると私は考えています。何も知らない状態からある情報を「知る」とき、それにより他のことを「知りたい」という感情が生まれたとき、これら全てにおいて「面白い」「楽しい」という感情と結びつくと考えています。

 

では、「知る」「知りたい」という観点に基づいて、先ほどのマーダーミステリーの流れを解釈していきましょう。

 

1. の集まった時点では、あなたはシナリオについて何も知りません。

2. でなりきる人物を決めるとき、あなたは、人物の名前と基本情報「知る」ことができます。これにより、どんな人物により繰り広げられるかを知ることができるので、事件内容を「知りたい」といった感情がうまれます。

3. 4. でキャラクターシートを読むとき、あなたは特定の人物に関する詳しい情報「知る」ことができます。これにより、特定の人物から見た事件の概要や人間関係がわかり、「議論の中でどんな情報を聞こうかな」「真実はこうかな」といったことへの知りたいがうまれます。

5. で他の人と議論をするとき、あなたは他の人だけが持つ情報「知る」ことができます。そして新たに発生した「知りたい」を動機に、あなたはさらにいろいろな情報を他の人との会話の中で知ることができます。いわば、ここでは「知る」「知りたい」が短いスパンで何度も何度も繰り返されます。

7. の感想戦では、最後に真実や他の人の持つ情報「知る」ことができます。そして、この時点でこれ以上知ることのできる情報がなくなったので、ここでゲームは終わりとなります。

 

このように、マーダーミステリーのゲームシステムそのものが、「知る」が何度も繰り返され、「知りたい」が続くように設計されていることがわかります。

 

しかし、「知る」面白さの由来をミステリー小説としたように、「知る」「知りたい」の繰り返しという要素だけであれば、マーダーミステリーに限らずとも、読書や映画鑑賞などにも当てはめることができます。では、これらと違った、マーダーミステリーの「知る」「知りたい」に関連する特徴とはなんでしょうか。様々なことが考えられますが、私は「多彩性」と「能動性」の2つが面白いという感情を引き出すと考えています。

 

「知る」手段の多彩性について

情報を知る手段について考えてみましょう。

読書では、本を「読む」ことのみで、映画鑑賞では、映像を「みる」、声を「聞く」ことの2つで、情報を得ています。では、マーダーミステリーではどうでしょうか。改めてゲームの流れをふりかえってみましょう。

 

2.で人物を決めるときは、名前や基本情報が書かれたものを「見る」に近い情報の取得をします。一方、

3. 4. でキャラクターシートを読むときは、文章を「読む」ことで、

5. で議論をするときは、他の人と「話す」ことで、

7. の解説では、話を「聞く」ことで、

それぞれ新たな情報を知ることができます。

また、これらはあくまでマーダーミステリーの基本的な部分であって、シナリオやプレイ手段によっては、カードを「引く」、鍵を「開ける」、人を「脅す」など、知るための方法が豊富に存在します。

 

このように、様々な方法で知る手段が用意されるのはゲーム特有であり、知り続けることに飽きず、常に面白いという感情が継続する一つの理由であると考えています。

 

「知る」手段の能動性について

ミステリー小説では、小説を前のページから読むという特性上、どうしても作者が決めた順番でしか情報を得ることができません。すなわち、受動的にしか情報を得ることができません。映画鑑賞や、多くの謎解きイベントにも同様のことがいえるでしょう。

 

しかし、マーダーミステリーでは、ゲームのメインとなる「議論」が参加者同士で行われるため、決まった順番がなく、各プレイヤーは自分がほしいと思った情報を得るため、話す人や内容を考え、実行します。すなわち、「知る」ための行動に能動性が存在します。

 

もちろん、受動的に「知る」ことができても知る喜びや楽しさは十分あるのですが、そこに「選択」「思考」というステップが入り、それらが成功すると「知る」ことができるようにすることで、より「知る」喜びが大きくなると考えています。この能動性も、ゲームに特有のものであり、面白いを引き出すと考えています。

 

さて、ここまでは遊ぶ「人」に注目してマーダーミステリーというゲームを見てきましたが、「キャラクターシート」という一つのアイテムに注目し、アイテムの持つ複数の機能というマーダーミステリーの特徴をみていきます。

 

アイテムの持つ複数の「機能」について

ミステリー小説では、それぞれの章、あるいは節・文章・文字は、読者が決められた通り前から読むことのみを想定して書かれています。そこに読者による違いは発生しません。しかし、マーダーミステリーでは、複数人が非対称に情報を持つという特性上、それぞれのキャラクターシートの内容をプレイヤーがいつ「知る」のかが異なるという特徴があります。

 

キャラクターシートに記載されたキャラクターを演じる人は、3. の段階で中身を知ることになります。すなわち、事件の概要を知るための手段としてキャラクターシートが存在します。

一方、キャラクターシートに記載されたキャラクター以外を演じる人は、7. の段階で知ることになります。すなわち、事件の真相を知るための手段としてキャラクターシートが存在します。

 

また、一部では、キャラクターが隠すべき秘密としてアイテムが登場することがあるのですが、それもアイテムの持ち主を演じる人にとっては、隠すべきもの、その他の人にとっては見つけるべきものという役割があります。

 

同じキャラクターシートやアイテムであるのに、いつ、誰が、どのような背景でそのキャラクターの物語を知るかによって、情報の持つ意味や価値が変わってくるのは、マーダーミステリーがゲームであるしるしであり、そしてゲームデザインにおいて一つ優れている点だと思っています。

 

まとめ

では、ここまでの内容をまとめます。

 

f:id:Another_Vision:20211231010010p:plain

f:id:Another_Vision:20211231010023p:plain

 

さて、ここまではマーダーミステリー一般に共通する部分だけで話をすすめ各「シナリオ」に関する話はしていませんでした。これは、具体的なシナリオの話は「ネタバレ」となり、今後遊ぶ人の楽しみを奪いかねないためあえて避けていたのですが、最後に、私が今までに遊んできたシナリオのなかでも特におすすめのランドルフ・ローレンスの追憶」を紹介します。

ランドルフ・ローレンスの追憶』の紹介

具体的なあらすじや実際に遊びたい方はこちらから。

rabbithole.jp

 

ランドルフ・ローレンスの追憶」は、マーダーミステリーの特徴として先ほど述べた「能動的な『知る』」がとても重視されています。そして、(ネタバレになるため言えない)巧みなゲームデザインが、私の心を動かし、記憶に強く残りました。

 

あまり詳しく言及できませんが、遊んで後悔することはまずないと思いますので、気になる方はぜひ遊んでみてください

 

 


5. 『原神』のストーリー『無風の地に閉じ込められたら』の分析

原神とは

続いて、原神内の1ストーリーについて分析していきます。

 

まずは原神について紹介を

genshin.mihoyo.com

ざっくり説明すると、原神は、オープンワールドゲームとして3次元の世界内を動き回れる中に、キャラクターをガチャで引き様々なアイテムで育成し戦闘するソシャゲRPGの要素をかけあわせたゲームです。

3次元のなんでもできる世界かつ、ソシャゲであり常にゲームを進化させ続けられるという点は非常に大きく、定期的なイベントやアップデートで、音ゲー・釣り・ミニゲームなどなど、あらゆるゲームができるゲームとしての側面も最近は持ちつつあります。

原神に登場する物語もピンキリで、質が低いものから高いものまで存在します。(平均的にはやや低めです。)

しかし、その中でも、「伝説任務」と呼ばれる、ガチャで出るキャラクターの一人に焦点を当てた物語を楽しむクエストは全体的に質が高く、今回はその中でも僕の記憶に残ってしまうほど良かったものを取り上げ分析します。

 

今回とりあげる物語が焦点を当てているのは、こちらのキャラクター「ウェンティ」、物語のタイトルは「無風の地に閉じ込められたら」です。


なお、これ以降分析のため、しっかりと物語のあらすじを書いていきます。そのため、ネタバレをしたくない人は、読み飛ばすようお願いします。

ネタバレになる部分を読み飛ばす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無風の地に閉じ込められたら」のあらすじ(※ネタバレあり)

さて、あらすじを読むうえでの前提3つを簡単に説明します。

  • 物語が焦点を当てた「ウェンティ」の設定:ウェンティは、正体不明の酒好きな吟遊詩人で、「自由」を象徴とする「モンド」と呼ばれる地域に滞在してします。やたらとモンドの国の神様について詳しいのですが、それは、ウェンティ自身がモンドの国の神様であるからです。
  • プレイヤーの操作:プレイヤーは、「旅人」と呼ばれるキャラクターを操作します。「ウェンティ」とはそれまでの物語で知り合いになっており、神であることも知っています。
  • ゲームの進め方:プレイヤーが操作する「旅人」が特定の人に話しかけると、専用の物語が始まります。以降物語の内容に合わせて、指示通りに特定の人に話しかける、特定の場所に行く、特定の敵を倒すなどの行動をすると、物語が少しずつ進みます。

では、あらすじを綴っていきます。

 

  • 「旅人」は、ウェンティから、"空想上の友達が見えるメガネ"をもらう。(空想上の友達とは、子供心のある人だけが見る、幻の話し相手のこと)
  • "空想上の友達が見えるメガネ"をつけ様々な人を観察すると、子供には「花」「機械」といった空想上の友達がいたが、酒場の大人にはいなかった。
  • 観察の過程で、旅人はある少女から「ジャック」と呼ばれる青年への伝言を頼まれる。新米冒険者のジャックは、冒険譚を人々によく語っている伝説の大冒険者「スタンレー」とともに神殿にいるという。旅人は神殿へ向かった。
  • 神殿に行くと、ジャックとスタンレーは敵に襲われていた。二人を助け神殿の奥へ向かう途中、スタンレーは自身の冒険譚をジャックに話す。「俺の仲間は幻の"風のない土地"へ向かうことに成功したが、そこで俺以外全員死んだ。魂がこの国へ帰ってこられるためにも、冒険者は風のない場所で死んではいけない」と。だが、話の内容には脚色が見え、本当の話か真偽は不明であった。
  • ウェンティは、大人であるスタンレーに「ベテランの戦士」の空想上の友達がいることを発見する。その姿は、スタンレーが話す過去の自分自身のようであった。
  • 話はまたかわり、ジャックは、「スタンレーがかつて冒険中に使用していた伝説の武具が近辺にあるらしい。これを見つければ、冒険者の夢を反対する両親を説得できそうだから、武具探しを手伝ってほしい」と旅人に依頼する。
  • 旅人はジャックとともに剣と盾を見つけるも、それらは古びた剣と盾であり伝説とはほど遠かった。しかし、ウェンティが言葉を並べ立てそれが伝説の剣と盾だとジャックを説得する。それを信じたジャックは、両親の元へ説得に行く。
  • しかし、旅人とウェンティは、近くに隠れたスタンレーを発見していた。旅人は、「伝説の武具の話は嘘であり、ジャックを傷つけないためにスタンレーが武具を置きにきたのではないか」とスタンレーに疑念を抱く。旅人らと出会ったスタンレーは、その場を取り繕っていた。スタンレーの冒険譚は本当なのだろうか。
  • その日の夜、酒場にスタンレーはいた。スタンレーの話をまとめるとこうだ。:スタンレーが幻の地へ行ったことは事実である。しかし、今まで話していた「スタンレー」は本物ではなくスタンレーが死ぬ前に守った冒険者であり、名を偽って本物のスタンレーの冒険譚を語り続けている。
  • 偽スタンレーは、「本物の大冒険者スタンレーのことをみんなに覚えていてほしい」のに「みんながスタンレーのことを忘れていく」ことに葛藤していた
  • そんな折、ジャックがスタンレーの目の前に現れる。ジャックは、冒険者の夢を両親が応援してくれたこと、自身の夢の原点はスタンレーであることをスタンレーに伝え帰っていった。ジャックは、冒険者として自立できたようだ。
  • スタンレーの冒険譚をジャックの夢へつないだ偽スタンレーだが、自分は嘘つきであるという。実は、スタンレーの本当の葛藤は、「本物の大冒険者スタンレーのことをみんなに覚えていてほしい」のに「みんながスタンレーのことを忘れていく」うえに「自分自身も加齢によりスタンレーとの思い出のほとんどを忘れてしまった」ため「嘘を語り続けている」ことであった。
  • 悔いるスタンレーにウェンティが近寄り、偽スタンレーの本名をささやく。瞬間、偽スタンレーの周囲に風が吹き、本物のスタンレーが手をさしのべる幻を見る。偽スタンレーを通じて、本物のスタンレーの魂は、神であるウェンティに届いた。ウェンティの見せた奇跡により、偽スタンレーは、過去と決別できたようだ。

以上です。ここからは、この物語について分析していきます。

 

 

「無風の地に閉じ込められたら」における各キャラクターの機能(※ネタバレややあり)

物語に登場するキャラクターには、物語に与える影響により以下の4つに分類されます。

f:id:Another_Vision:20211231012019p:plain

上のあらすじでは、「旅人(=プレイヤー)」「ウェンティ」「ジャック」「(偽)スタンレー」の4人が主な登場人物でしたが、このうちこの物語における機能面での「主人公」は誰でしょうか。

「目的を持って行動し、葛藤し、決断し、成長した」人物、すなわち主人公は「ジャック」と「スタンレー」の二人です。では、この二人をそれぞれ主人公ととらえた場合、他の機能を持つ人は誰でしょうか。

 

下のようになります。

f:id:Another_Vision:20211231014303p:plain

 

ところで、この物語は、プレイヤーが旅人を操作するゲームの中で、ウェンティの魅力を見せるために書かれた物語です。にもかかわらず、ウェンティは機能的には援助者でしかなく、旅人は機能的には物語の進行になんら影響を与えていません。「傍観者」ともいえるでしょう。

ウェンティが援助者になってしまうのは、ある意味必然といえます。ウェンティの魅力を見せる物語ですから「敵対者」にはなれず、基本一人で行動しているため「相棒」にもなれません。加えて、ウェンティは神という立場上「これ以上成長することのないキャラクター」であり、また「明確な目的を持ってもいけないキャラクター」です。すなわちウェンティは機能的に「主人公」にできません。しかし逆に、神という立場は、「他人を助ける」ことには長けています。そのため、ウェンティ以外の誰かを主人公にたて、それをいかに「援助者」として助けるかを見せることで、ウェンティの魅力を出している、というのがこの物語の構造となっています。

一方、旅人が傍観者になってしまう理由は、プレイヤーの視点およびゲームの性質と関わりがあります。

「無風の地に閉じ込められたら」におけるプレイヤーの視点

この物語においてプレイヤーは、「傍観者である旅人を操作する視点」にたっています。しかし、原神に登場する他の物語の多くでは、「主人公である旅人を操作する視点」になります。旅人が主人公になる場合、旅人の目的による行動→葛藤→決断と行動、を理解し共感させることが重要になります。そうなるとソシャゲの場合、遊ぶ全員が旅人の視点に立つため、できる限り多くのプレイヤーが旅人の行動に共感してもらわなければなりません。そのため、旅人は目的はありますが強い個性を持ちません。その目的も、他の誰かの物語の中では機能しません。

つまり、「無風の地に閉じ込められたら」という物語の中で、プレイヤーが操作する旅人は目的がないため主人公にも敵対者にもなれず、相棒にもなれず、個性で持って誰かの決断や悩みの解決を助けることも難しいのです。だから傍観者になります。

ゲームの世界にいても、旅人は本を読む読者と実質的には相違がなく、物語進行と遠いところにプレイヤーがいます。

 

「無風の地に閉じ込められたら」で心が動く瞬間

僕は、心が動く瞬間は以下の通りであると考えています。

 

f:id:Another_Vision:20211231083708p:plain

 

どの程度主人公らの行動を理解し共感できるかどうかは十人十色ですが、それぞれの人が共感してしまうものには共通点があると僕は考えています。それは、主人公の過去の出来事・目的・悩み・決断のいずれかが、自分自身の経験と重なったときです。自分の経験と同じような状況に立たされた主人公に人は心を動かされてしまうと感じています。

 

僕の場合は、「無風の地に閉じ込められたら」におけるスタンレーに、強い共感を覚え、そのために記憶に残りました。それはなぜなら、スタンレーが、

周囲に見せている自分と、本当の自分との間の乖離に葛藤していたから。

です。機能としての「敵対者」が自分自身であったから、ともいえます。僕自身、過去に周囲に見せている自分と本心との間の大きな乖離に苦しみ、しかしそれを解決するための決断ができずにずっと悩み続けたときがあったので、スタンレーの思いはよく共感できました。さらに、この物語では、スタンレー自身の決断によるものではなく、神がおこした奇跡によって、悩みが解決します。これは、キリスト教において聖書に記されている、イエスが奇跡をおこす物語と通じるものがあります。僕がキリスト教系の高校を出ていて聖書の内容に親しかったことが、展開の理解を容易にしたのも、共感が強かった理由かもしれません。

あるいは、僕の場合は、謎解き、そして謎解き界隈との出会いが、奇跡であったのかもしれません。

 

なお、悩みは今でも少し続いていて、AnotherVisionでも大学の学科でも、その環境に上手く適合するように、本当の自分を少しずつ変えながら僕は自己を紹介しているのではないか、と考えてもいます。

 

原神の「ゲーム」と「物語」の関係性

では今までの話をまとめながら、原神というゲームと物語の関わりについてみていきます。

  • 「原神」では、個性の薄い「旅人」を操作することにより物語を進めます。
  • 「無風の地に閉じ込められたら」は、ウェンティというキャラクターの魅力を出す物語でしたが、ウェンティは機能上主人公になれないキャラクターだったので、他のキャラクターを主人公とし、それを援助者としてどう助けるかを見せることで魅力をだしていました。
  • 主人公スタンレーが僕の過去と重なったため、僕は強い共感を覚え、心が動きました

原神では、視点が物語進行から離れたところにあることが特徴でした。マーダーミステリーでは、全員が「主人公そのもの」であり主人公体験が特徴でしたので、真逆であることがわかります。では、原神の「傍観者体験」=「読書体験」はなぜ記憶に残ったのでしょうか。それは、「物語内容が強く共感できるほど良かったから」です。元も子もないかもしれませんが、読書に似た形式をとる以上、物語そのものの質が求められてしまうのです。ただし、本は「読む」ことでしか物語を進められませんが、ゲーム内物語では、「戦闘する」「夜まで待つ」「目的地へ行く」といった多彩な行動があり、物語がゲーム上の行動と関われる部分は大きいでしょう。

また、マーダーミステリーがプレイヤーに「演じる」、「別の誰か」になることを強制するのと違い、原神ではプレイヤーにそのようなことを強いることはありません。布団の上でも、電車内でも「等身大の自分」で問題はありません。

上の2つをまとめるとこうなります。

f:id:Another_Vision:20211231020913p:plain

謎解きイベントなどでよく、「主人公体験」と「等身大の自分」の2つのキーワードが出てきますが、僕はこれらは矛盾し余程うまくやらない限り共存し得ないと考えています。等身大の自分でありながら「主人公体験」を謳うコンテンツで、あなたたちは本当に主人公ですか?「旅人」のような傍観者や、「ウェンティ」のような援助者ではありませんか?一部の例外を除き、物語を使ったコンテンツの多くが援助者体験程度にとどまっているのではないかと僕は思っています。

 

 

 


6.『Song of Bloom』の考察

最後に、『Song of Bloom』というゲームを考察します。

『Song of Bloom』は、App Store限定のスマホアプリゲームです。

Song of Bloom

Song of Bloom

  • Philipp Stollenmayer
  • ゲーム
  • ¥250

apps.apple.com

 

App Store限定で250円と有料ですが、250円以上の価値があるゲームなのでぜひやってほしい。

 

(ただし、全体的な物語が詩的であり、やや人を選ぶと思います。Song of Bloom の物語的側面については私もまだ十分咀嚼できていません。ここでも、物語的側面は無視します。

 

ここでは、3つのゲームの考察の最後として、先にSong of Bloomにおける「存在を知る」「理解する」「完全に理解する」の流れを見たあと、「理解する」手段について、言語化しようと思います。

 

なお、考察の関係上「Song of Bloom」のゲーム進行に関するネタバレを含みます。特に、最序盤の攻略方法をがっつり書きましたので、ネタバレをふみたくない方は、(※ネタバレあり)と書かれた節は読みとばすようお願いします。

 

ネタバレになる部分を読み飛ばす

 

 

 

 

 

 

Song of Bloom の「知る」「理解する」「完全に理解する」のサイクルについて(※ネタバレあり)

(※ゲーム内画面のスクリーンショットを避けるため、模写した絵を用いていますが、それでもネタバレを含むことに変わりはありません。)

Song of Bloomはいわゆるパズルゲームです。しかし、そのパズルのルールが最初に明示されているわけではありません。

f:id:Another_Vision:20211231021115j:plain

上の画像をみてください。これが、プレイヤーが一番最初に見る場面です。どうやら、「開始」を押すとゲームがはじまりそうです。そこで、「開始」を押してみます。すると、

f:id:Another_Vision:20211231021230j:plain

 

よくわからない詩が始まります。当然意味はわかりません。

しかし、とりあえず文字の部分を押すと詩の先が読めるので、読んでいきます。

 

f:id:Another_Vision:20211231021342j:plain

 

詩の上部には、謎の図形が次々と表示されます。

 

f:id:Another_Vision:20211231021402j:plain

 

読み進めていくと……

 

f:id:Another_Vision:20211231021522j:plain

最終的に詩が終わり最初の画面に戻ってしまいます。

この状態でできることは、「開始」ボタンを再び押すことだけ。そして、ボタンを押した後は先ほどと同じ詩が流れてまたこの画面に戻ります。一体何をすれば先に進めるのでしょうか。

f:id:Another_Vision:20211231021342j:plain
f:id:Another_Vision:20211231021402j:plain

 

上の2枚の絵を比較して見てみましょう。右側は、「『三角の頂点に赤い丸が描かれている』画面をうつしたスマホを手で持っている」ようにみえます。一方左側。詩の中に「三角」が描かれた部分がありました。どうやら、この二つの情報はつなげられそうです。そこで、

f:id:Another_Vision:20211231022005j:plain

 

このように、三角の場面で、指でなぞって丸を描いてみましょう。すると……

 

f:id:Another_Vision:20211231022039j:plain

突如として、全く知らない場面にうつります。

 

以上が、Song of Bloomの基本のゲーム進行の全てになります。

 

とは言ってもよくわからないので、改めて、今説明したことを振り返ってみましょう。

  1. 「詩」という場面に遭遇する
  2. 「文章の部分を押す」という直感的な動作により、詩を最後まで読めることを理解する。
  3. その過程で、「三角の上の頂点のまわりに丸を描く」というヒントに遭遇している
  4. それは、「詩の途中にある三角に丸を描いてみる」という動作を示唆していることに気がつく
  5. 4. の通りに実行してみる
  6. 新たな場面に移行、1.に戻る

というのが最初の流れでした。

上記のことを抽象化した、

  1. 知らない場面に遭遇する。=存在を知る
  2. 直感的な動作ですすめていくと最初の画面に戻る。=理解する
  3. その過程で、何らかの情報、すなわちヒントに遭遇している。=存在を知る
  4. その情報は、今まで直感的な動作で理解してきたとある場面に、非直感的な動作ができることを示唆している。
  5. そこで、直感的な動作をした場面に戻り、先ほど考えた非直感的な動作を実行すると、新たな場面へ移動できる。=完全に理解する
  6. 1. に戻る。

がSong of Bloomの基本システムです。

Song of Bloomは、ひたすらこれの繰り返しでできており、クリアするまで何度も何度も何度も「完全に理解する」喜びを得ることができます。

「理解する」手段の抽象化

マーダーミステリーの章でも述べた通り、「知る」手段が多彩であると、より面白いという感情がうまれやすいと私は考えています。Song of Bloomも、上記の通り、構造自体は同じことの繰り返しですが、2. と5. の理解するときの「直感的な操作」「情報の組み合わせ方」に一つとして同じものがないため、最後まで面白いが持続します。

 

実は、謎解きや脱出ゲームにおいても、構造自体は大差ないが「理解する」方法が異なることで、様々な面白さを引き出し、面白いが継続することが多いです。このように、「理解する」といっても何をどのように理解するのかは様々ですが、私はこれを大きく2種類に分けられると思っています。それが、Song of Bloomの繰り返し構造の2.「直感的な動作」と4.「情報と情報を組み合わせる」です。

直感的な動作:点から出る線をのばしてみる

例えば、目の前に箱があるとき、あなたは「開ける」という動作をしたくなるでしょう。ボタンがあったら「押す」という動作を、暗号があったら「解読する」という動作をしたくなります。そして実際にその動作を行うと、正解であった。これが、最初の理解です。

意味は不明だけど、明らかにやりたい動作があり、実際にその動作が正解であった。というものです。図にすると、以下のように、「点から出る線をのばす」というように抽象化できます。

f:id:Another_Vision:20211231040827p:plain

 

情報と情報を組み合わせる:点から出る線2つを結ぶ

例えば、「4桁錠の書かれた箱」と「4桁の数字が書かれたメモ」があるとき、あなたは、「メモの通りに4桁錠を合わせてみる」という動作をしたくなるでしょう。「苺救護」という紙があれば、「いちごきゅうごと読める、4つの数字の読みと一致している」といった知識から、「1595」と数字を合わせてみたくなるでしょう。これが、2つ目の理解です。

意味がわからない何かに対し、他の情報や、知識・常識を組み合わせることで、なんらかのメッセージを導いたり、何らかの動作をしたくなったりする、というものです。図にすると、以下のように、「点から出る線2つを結ぶ」というように抽象化できます。

f:id:Another_Vision:20211231042243p:plain

「完全に理解する」手段の抽象化:新たな線が出る

また、上記の「点から出る線2つを結ぶ」理解において、片方から線が出ていなかったとき、すなわち理解する余地があることに気がつかなかったとき、「完全に理解する」と解釈できます。

 

f:id:Another_Vision:20211231043457p:plain

 

これらをSong of Bloomの基本構造に適用すると、以下のようになります。

 

f:id:Another_Vision:20211231051348p:plain



 

上からも分かる通り、Song of Bloomでは、直感的な動作を多く入れることで、深く考えずに「理解した」と思わせ、その後の「完全に理解する」を発生させています。

 

つまり、一度きりのゲーム体験で特に感情が大きくなるため入れたい「完全に理解する」は、組み合わせる2つの情報のうち1つを、他の直感的な動作による理解で隠して先に提示することで、実現することができることがわかります。

 

伏線回収がすごい、どんでん返しが大きかったといわれるコンテンツの多くはこれに則っている気がしますが、どうでしょうか。

 

 

 


7. 物語の再構築

今までのまとめ

今までの話をまとめてみましょう。今回の分析では、以下の2枚の画像の内容に基づいて様々なことを考えてきました。

f:id:Another_Vision:20211231012019p:plain

f:id:Another_Vision:20211231083708p:plain

 

3つのゲームの分析の結果、大きく分けて2つの結論に至りました。1つは、なぜ物語で僕の心が動いたのか。もう1つは、ゲームと物語はどう調和できるかです。

前者については、原神の物語の分析により、「周囲に見せている自分と、本当の自分との間の乖離に葛藤している」キャラクター「スタンレー」の言動が、僕の過去を想起させ、強い共感を覚えたから心が動いた。と結論づけましした。

後者については、プレイヤーと物語の関係について、「主人公そのもの」「等身大の自分」の2パターンを挙げました。マーダーミステリーのように、プレイヤーが演じることが遊びになっており、主人公そのものとして物語へ深く入っていけるものがある一方、原神や喪失メロディアでは自身が物語の展開を作る要素はなく、等身大の自分の立場で、他のキャラにより作られた物語を追うことに近いものもあります。等身大の自分の場合、今回挙げた原神の物語のように、物語自体に深く共感できれば記憶に残るのですが、そうでない場合はなかなか物語は記憶に残りません。その解決となる一例が喪失メロディアであり、「プレイヤーでない他者に感情移入をさせ、その他者の目的をプレイヤーが阻んでしまう」という方法です。これにより、プレイヤーは等身大の自分でありながら「敵対者体験」が行え、同様にして「援助者体験」もできるようになるのです。

また、マーダーミステリー、特にランドルフ・ローレンスの追憶の例から、ゲームルールに物語が考慮されているかが大事であると結論づけましたが、喪失メロディアはそれができていた成功例として過言はないでしょう。喪失メロディアでは、

  • 物語が全て途中の回想及び最初と最後の映像にのみ集約され、飛ばせない
  • その映像は、ゲームの謎解きのクリア報酬であり、達成感を出すための装置になっている
  • 物語の内容は、謎解きの内容と関係はないが、上記のように行動に葛藤を与える

という方式をとることで、物語が必須でないジャンルにうまく物語を溶け込ませていたのです。

 

再構築?

では、これらの要素を参考にして、何か1つゲームとそれに付随する物語の構成を考えていきます。

 

 

 

 

 

あれ?

 

 

似ている……

 

 

似ている!!!

 

 

この記事を読んでいるあなたも、もしかしたら何かが脳裏をよぎったかもしれません。

上の抽象化したまとめから物語を作るときに、引き寄せられてしまう何かのせいで、ゲーム内物語の作成は続行不可能になりました。

 

……そこで方針を転換し、「感情が動く瞬間」の展開に忠実に添った、短い物語を作ることにします。ひとまず大まかな展開はできました。それがこちら。

 

 

私と彼との関係は、「一心同体」という言葉で表すことができる。小さい頃から一緒だったから、私は彼のことを誰よりも多く知っているし、彼もまた、私の全てを知っているはずだ。私の人生は、もはや彼の存在なしに語ることはできない。

→現在の行動の動機となる過去の出来事

未来のことはわからないけれど、このままずっと、彼と一緒に過ごせたらいいな……。そう考えていた。

→「主人公」の「私」の欲求・目的

しかし、彼には、私に内緒にしていた秘密があった。今まで彼が私に見せていた顔は、彼の本当の姿だったのだろうか。私にかけてくれた言葉や、数々の贈り物は、彼の本心からのものだったのだろうか。それとも……。

→目的達成を阻む対立要素=「敵対者」:彼

目の前には、1冊の本がある。この本を開けば、彼の全てを理解できるはずだ。しかし、それは同時に、彼に対する印象が大きく変わってしまう可能性を秘めている。

 

「このままずっと、彼と一緒に過ごせたらいいな……。」

そんな私の願いは、叶わなくなるかもしれない。

→悩み・葛藤

長いこと考えた挙句、私は決断をした。私は本を……

→決断

 

では、上に文章を足してちゃんとした物語にしていきましょう。

 

……

 

……

 

(頓挫する音)

 

「理論」と「実践」でいう「理論」も「実践」も全く持ち合わせていませんでした。

まずは「理論」の方をなんとかしよう……!

「実践」については何もやってませんね。プロットという骨に肉をつける作業、いわば実践的な文章化についてはまだまだ技術不足でした。

 

さらに、どちらかというと、僕は物語の表層に現れる一つ一つの文の修辞やリズムなどより、背後にある全体的な展開、プロットを考えるのが好きだったようです。

 

上のような展開がテンプレに当てはめたらさらっとできてしまい、どこかそれで満足している僕がいます。

 

そんなわけで、物語が完成しませんでした。次の章は完成した物語をのせる用に作っておいたのですが、必要がなくなったので一行で終わらせます。あと、上の物語の雛形のようなものは、折角なのでこの記事の冒頭にでもおいてつかみにしましょう

 

 


8. 完成したコンセプト

f:id:Another_Vision:20211231154711p:plain

f:id:Another_Vision:20211231154804p:plain

f:id:Another_Vision:20211231154828p:plain

f:id:Another_Vision:20211231154848p:plain

f:id:Another_Vision:20211231154936p:plain

f:id:Another_Vision:20211231154951p:plain

f:id:Another_Vision:20211231160743p:plain

f:id:Another_Vision:20211231160759p:plain

脳内プレイが十分でなく、ゲームシステムがフワフワしすぎているのは、ブログ記事だからということで、ここで妥協させてください。

とはいっても、知的遊戯を楽しむ人をターゲットに絞れば、「面白そう」はいくらか出せたのでは?と思っています。折角なので、爽快!魔法学理論を脳内プレイしたときの記録を書き起こして記事冒頭におき、つかみにしてみます


9. まとめ

いかがでしたか?長い文字数を割いて分析し続けた結果は、既存の何かであり、この記事のために作ることができたのは、物語の展開のほんの一部でした。

そもそも今回は、物語の背後の構造にばかり注目して分析をしていたので、それだけを武器にして物語を作りきるのは無理があったのかもしれませんね。

 

ところで、この記事を書いていて1つ思ったことがあります。

"記事が長すぎる"

3つのゲームの分析をした結果、長くなりすぎたのです。しかも分析記事。これでは、読み飛ばされてもいたしかたないでしょう。

 

どうにかしてこの記事を、読みとばされない、ゆっくり読める記事にできないでしょうか。

 

例えば、記事に何か「秘密」を混ぜ込んだうえで、「記事の秘密を暴け」とこの記事を読む人に目的をつけ、ゆっくり読ませるようにする、とか…

 



ということで、メタ視点のKaDiです。

みなさん、このブログ記事に数多くあった、不自然な点に気がつきましたか?

答えあわせとして、このブログ記事の内容を振り返ってみましょう。

 

1. はじめにで私は、「AnotherVision 8期のKaDiです。」と名乗っていました。AVCCであるのでAnotherVisionに在籍しているのは当然です。しかし、2. 自己紹介ではどうだったでしょうか。所属をeeic→AnotherVisionとしていたり、謎解きが好きな人ばかりが見るはずの記事でなぜか謎解きをしっかり説明していたり、AtCoderを説明なしに「多くの人がやっている」と紹介していたり、AnotherVisionを知っている人向けの記事として少し不自然ではなかったでしょうか。

 

3. 物語を作りたいでは、今年触れたコンテンツの中でゲーム内物語が良かった3つのゲームの分析をすると書きました。しかし、そのうちの3つ目、「喪失メロディア」というゲームの分析は存在せず、そのかわり、なぜか「Song of Bloom」というゲームについての文章が存在していたはずです。加えて、「物語」をテーマとしていたのに、Song of Bloomでは「物語的側面は無視する」として理解する思考の抽象化に関する話、ゲームルールの考察であり、前後と話の文脈が合いません。

 

考察対象としては同じ、4.『マーダーミステリー』の考察も、よく読むと「知ること」に焦点が当たっていますし、全体的にゲームのルールに注目がされています。

 

そして7. 物語の再構築で物語を作ろうとするも、作ることができなかったという展開になったにもかかわらず、8. 完成したコンセプトはなぜか全く知らないゲームのコンセプト資料でした。

 

他にも、一人称が「私」と「僕」が混在したり、強調するときの色が青と赤の二種類あるなど、変な箇所はたくさんあったはずです。

 

一体、何が起きていたのでしょうか。

 

そういえば、原神の考察で、こんなことを言っていました。

AnotherVisionでも大学の学科でも、その環境に上手く適合するように、本当の自分を少しずつ変えながら僕は自己を紹介しているのではないか

 

あなたが読んでいた記事を書いたのは、本当に、AnotherVisionのKaDiだったのでしょうか。

例えば、記事の一部を書いたのは、AnotherVisionのKaDiではない別人であった、とか考えられないでしょうか。

 

 

答え:

このブログ記事では、偶数の章が、EEIC(所属する学科の略称)のKaDiの書いた、全く別の記事の偶数の章になっていました。

具体的には、今まで読んできた中では、

  • 2. 自己紹介
  • 4. 『マーダーミステリー』の考察
  • 6. 『Song of Bloom』の考察
  • 8. 完成したコンセプト

の4つの章は、ゲームルールに関して分析した全く別の記事の内容だったということになります。

 

それをふまえて読んでみると、ここに書いたこと以外の、様々な伏線や違和感に気づけるかもしれません。よければ探してみてください。

 

では、メタ視点はここまでにして、最後にAnotherVisionのKaDiにお返しして記事を締めてもらいましょう。

 



 

 

 


10. おわりに

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

2021年12月15日のアドカレはEEIC2022のKaDiがお送りしましたが、EEICのアドベントカレンダーには他にもEEIC2022内定のみんなの面白い記事があるのでぜひぜひ読んでみてください!

adventar.org

以上、KaDiでした!メリークリスマス!よいお年を!

 

(※記事を最初から読み直したい方は下のボタンをクリック!)

 

△ページトップに戻る

 

 

タイトル付けが難しい

こんにちは!AnotherVision9期のでぃーらいゔ*1です!

文章が長いので、サクっと自己紹介をします!

 

ハンドルネーム:でぃーらいゔ*2

TwitterのID*3:@D_rive_five

他の所属サークル:ボルダリング、スカッシュ

 

もう12/29です。既に何人もの方々が面白く、引き込まれ、ドキドキする文章を書き上げてます。

そんな中、僕が何を書くのかというと…

 

ズヴァリ*4!好きなものの話です!

正直何の捻りもないのですが、どうしても書きたいのです。

動機は「同士を見つけたい」というもの。ストレート過ぎますね。

生まれてからの19年*5で同士を見つけられなかったものが多々あります。

多くの人の目に触れるであろうこの場で僕の好きなものを紹介して、共感してくれる人と繋がりたい、というのが僕の野望です。

それぞれについてたくさん語れてしまいそうなので、ポイントを2つに絞ります。

 

①触れたきっかけについて

②「タイトル」や「名前」について

 

僕の好きなものにはストーリー性のあるものも多く、ストーリーの魅力を語ろうとするともれなくネタバレ*6なので、今回は「タイトル」と「名前」で魅力を語れたらいいな、という試みです。

試しに「謎解き」をテーマにやってみます。

①小学生のころ、知識ではなくいわゆる「ひらめき」が必要なクイズ番組が大好きだったのが全ての始まりです。謎解き公演の存在は中学、高校のころには知っていましたが、どうやって参加するのかよく知らず、なかなか一人で行く勇気もなく、比較的お金がかからず、参加がしやすいweb謎や周遊謎をやるようになりました。そしてAnotherVisionに入ってからは、公演経験を積んでいます。

そういえば初めての周遊謎で、最初の謎を解き次の目的地へ向かおうとすると、「この謎が解けないんですが、教えていただけますか?」って突然男の人*7に話しかけられ、そのまま流れで最後までご一緒したことがあります。あの時「謎解きって人と人が繋がるいいコンテンツだな」と思ったことも、一つのきっかけかも知れませんね。

②謎解きをプレイした、あるいは制作した人なら分かると思いますが、「タイトル」って大事ですよね。見ただけでやってみたくなる魅力的なものもあれば、クリアした時に真の意味に気づいて思わずため息が出てしまう美しいものもあります。

 

と、こんな感じでサクサク*8やっていこうと思います!

話す順番は僕が勝手に判断した「同士が見つかりやすそう」順です。

それでは早速語っていきましょう!

 

エントリーNo.1 仮面ライダー

特撮は毎週観てます。色々な特撮作品がある中で、1番追えているのが仮面ライダーです*9。特撮が好きな人は結構周りにいます。

①小学生時代、見始めたのが周りより若干遅く、観た記憶がある最初の作品は「仮面ライダーディケイド」。そこから「仮面ライダーフォーゼ」までの4作品を観て、一度このジャンルから離れました。しかし、中学1、2年のころに再びブームが到来。過去の作品をレンタルしたりYouTubeで観たりして*10、今に至ります。

仮面ライダーといえば、それぞれの名前にもストーリー性や面白さがありますが*11、今回着目したいのは「各話のタイトル」です。アニメやドラマと同様に、仮面ライダーの中にはとても特徴的で面白いタイトル付けのなされた作品が数多くあります。その中でも僕の好きな作品を2つ紹介します。

 

・「仮面ライダーW*12

「2人で1人の仮面ライダー」、「動植物以外の概念モチーフの敵」*13といった斬新さがありながら、毎回2話で完結し、話の流れが追いやすいという特撮を初めて見る人にオススメの作品です。この作品、例えば最初の2話であれば、第一話が「Wの検索/探偵は2人で1人」で第二話が「Wの検索/街を泣かせるもの」という感じで、基本的には各話のタイトルが「(2話共通のタイトル)/(サブタイトル)」みたいな感じになっています。2話共通のタイトルにはアルファベット1文字が含まれます。本当に毎話毎話タイトルがカッコ良くて、まさしく「探偵もの」という感じ*14

 

・「仮面ライダードライブ」*15

僕の1番好きな作品です。こちらも敵の個性が強めで、何より「バイクに乗らないライダー」という斬新さ*16を持った作品です。こちらも基本的には2話完結で分かりやすい「刑事もの」路線です。こちらの各タイトルの特徴は、「5W1H」です。最初に疑問や謎が掲示されるのはストーリー展開の王道ですね。その「答え」は何処にあるのか、主人公はどんな「答え」を出すのか、そんなワクワクを毎回与えてくれます。第一話のタイトルは「俺の時間はなぜ止まったのか」です。ここから動き出す物語を一緒に追いかけてみたくなる、第一話に相応しいタイトルです。

 

普段は「カッコよければ何でもいいや!」というスタンス*17で観てますが、特にこの2作品はストーリーとしても好きです。

 

エントリーNo.2 ミステリー小説

ミステリー小説を読む、という人は多いと思いますが、一口にミステリーと言ってもジャンルが幅広く、奥が深いために同じ作品を愛する人に出会うのは至難の業ですね。今回は好きなシリーズを中心に紹介します。

①もともと推理もののアニメやドラマが好きだった僕が最初に買ったのは「謎解きはディナーのあとで2」(著:東川篤哉 小学館)*18の単行本でした。ドラマを観てその面白さに惹かれて買いました。表紙の質感とか綺麗で独特なイラスト*19がすごい好きです。

そこからミステリー小説にハマり、STシリーズ(正式名称は「ST 警視庁科学特捜班」著:今野敏 講談社文庫)*20、「天久鷹央の推理カルテ」シリーズ(著:知念実希人 新潮文庫nex)*21、「浜村渚の計算ノート」シリーズ(著:青柳碧人 講談社文庫)*22、S&M、Vシリーズ(著:森博嗣 いずれも講談社文庫)*23と多種多様なミステリーを読んできました。

②先程紹介したものを中心に書いていきます。

 

・「謎解きはディナーのあとで」シリーズ

変わったキャラクターを描いているために各話のタイトルも特徴的です。シリーズ最初の作品のタイトルが「殺人現場では靴をお脱ぎください」であるように、この独特の世界観にぴったりな感じです。

 

・STシリーズ

STチームの名前に色が含まれます。個性的なメンバーの集まったSTチームの多種多様さと、チームの一体感が表現されているように感じます。「赤の捜査ファイル」など、メンバーの「色」と対応した物語があります。

 

・「天久鷹央の推理カルテ」シリーズ

作品テーマでもあるような「不可思議な現象」をイメージさせるようなタイトルが多いです。「吸血鬼症候群」や「魔弾の射手」など、メディカルミステリーのイメージとは離れつつも、内容の気になるタイトルが多いです。一方で、「推理カルテ」シリーズ最初の作品のタイトルは「泡」と極めてシンプルなのも、「最初の作品」という感じがして面白いです。

 

・「浜村渚の計算ノート」シリーズ

数学チックなワードが各話のタイトルに含まれることが多いです。有名な作品と掛け合わせたものもあります。個人的に好きなのは、「アイシテルの正弦*24」とか、「つるかめ家の一族」とか、「事情だらけの総合病院」です。面白さ重視なタイトルに見えて、しっかり内容に沿っているところがこのファンタジックな作品の凄いところだと思います。

 

・S&M、Vシリーズ

著者の森博嗣先生の作品は英語の副題がつくものがほとんどです。僕は「封印再度 WHO INSIDE」「夢・出会い・魔性 You May Die in My Show」のように、洒落の効いているものが好きです。S&Mシリーズの第一作と最終作が「すべてがFになる THE PERFECT INSIDER」と「有限と微小のパン THE PERFECT OUTSIDER」で英語のタイトルが対照的なのも好きです。各話のタイトルだけでなく、各章のタイトルも詩的で素敵です。それから、Vシリーズの登場人物の名前はみんな字面が凄くて好きです*25

 

エントリーNo.3 デュエル・マスターズ

今年で20周年を迎えた、大人気カードゲームです。周りにも何人か知っている人がいますが、最近のカードに詳しい人は少ないです。

①小学生の頃に読んでいたコロコロ(小学館)の影響は大きいです。主人公の切札勝太がデュエマで活躍する漫画(作:松本しげのぶ)も面白かったですが、デュエマの世界のストーリーを描いた漫画(「ストーリー・オブ・デュエル・マスターズ」(作:伊原しげかつ)など)も面白かった思い出があります。最近はデュエプレをそこそこやっていますが、パックやカードを買って実際にプレイすることはありません。そんな僕のデュエマの楽しみ方は、公式サイトのカードリストを見てデザインを楽しむことと、フレーバーテキストを読むことです。フレーバーテキストとは、カード能力が書かれた部分よりさらに下にある、デュエマの世界の物語が描かれていたり、そのカードにまつわる内容が書かれていたりする部分です。僕の好きなフレーバーテキストは「冥界を統べる新月のハーデス」の『孤独の冥(訳:彼に触れた者はみんないなくなりました)』や、「熱核連結 ガイアトム・シックス」の『本来あるべきものの代わりに神核に収まったのは、冷たき熱血だった。』です。

②デュエマのカードも名前がとても面白いです。今期の「王来篇」は特に面白いです。まずはこちらのカードを紹介します。画像は公式サイト

https://dm.takaratomy.co.jp/card/

のカードリストのものを使います。

 

《伝説の禁断 ドキンダムX》

「伝説」かつ「禁断」という名前の力強さ、古代文字のような「X」が封印されし存在の強大さを表現しています。

《時の法皇 ミラダンテXII》

時を象徴する時計の文字盤のデザインが美しく、名前に刻まれた「XII」がカッコいいです。

 

無双竜機ボルバルザーク

強過ぎて公式大会では1枚も使用できない、というまさに「無双」なカード。種族がアース・ドラゴンであることを示す「無双」と、アーマード・ドラゴンであることを示す、「竜機」を合わせたこの名前が、時を経てこのカードにふさわしい称号を与えているような気がします。

《禁断機関 VV-8》

同じ「禁断」でもドキンダムXとは異なる、メカニカルなデザイン。封印された兵器のような「VV-8」のナンバリング。鍵が回転して力が全開放されたデザインの方も好きです。

 

みんなかっこいいカードで大好きですが、今回本当に見せたいものはこれらではありません。

僕が紹介したいのは、「王来篇」のこちらのカードです。

《禁時混成王 ドキンダンテXXII》/《禁断竜王 Vol-Val-8》

今期の「王来篇」は20周年に相応しく、過去に伝説となった者たちの魂を受け継いだ「レクスターズ」と、彼らの肉体だけを組み合わせることで生まれた、魂なき存在である「ディスペクター」の戦い、というストーリーになっています。個人的にはディスペクターのデザインが好きで、特にこの二つの名前はすごく好きです。

まず《禁時混成王 ドキンダンテXXII》ですが、やはり最初に感心してしまうのは「X」と「XII」を合体させるという発想。そしてもう一つ、ドキンダムとミラダンテという対立する存在を組み合わせることで、「キンダン」の文字列が名前の中に完成するところは、偶然の産物か仕組まれたものかはわからないにしろ、背筋が凍る思いがします。

そして《禁断竜王 Vol-Val-8》。全く異なる時代に生まれた存在でありながら、「ターンを追加する」という能力、そして名前の親和性が抜群です。強過ぎて禁じられたドラゴンの王と、封印されし禁断の機械が、時を経て最強の存在として帰ってくる、そんな数年越しの伏線回収を見た気分になります。

 

エントリーNo.4 嵐

言わずと知れた国民的アイドル。僕はとにかく曲とライブの演出が好きです*26

①きっかけは親が買った10周年記念アルバム「5×10」を車の中でずっと聴いていたことです。今思えば「サクラ咲ケ」が最初に覚えた嵐のラップ*27でした。

②基本的にアップテンポの曲*28と暗めの曲*29が好きですが、曲名という観点で言うと、「Sakura」が好きです。桜を名に冠する曲は数多くありますが、この「Sakura」は他とは一線を画す雰囲気を持つものであり、それでいてしっかり「桜」をイメージさせる曲となっています。それから2020年の大晦日のコンサートで歌われた「The Music Never Ends」はタイトルからいろいろな想いの強さが伝わってくるので好きです。

それからもう一つ。

 

「嵐 探し 辺り騒がしい その凄まじい 騒ぎ まさに 嵐」

 

これは「嵐といえばラップ!」と思っている僕が大好きな、嵐の複数の曲のラップ詞で使われているフレーズです。口に出してみれば分かる通り、このフレーズはめちゃくちゃ韻を踏んでいます。このフレーズが生まれたのはもう10年以上前のことですが、当時はただ自信に満ち溢れた歌詞に過ぎなかったのに、今聴くとずっとリアルなものに感じられます。

 

エントリーNo.5 逆転裁判

異議あり!」でお馴染みの法廷バトルアドベンチャーゲームですが、実際にプレイした方は意外と見つからなくて*30、本当に同士を探しています。ちなみに未プレイなのは「逆転検事」シリーズと「逆転裁判vsレイトン教授」だけです。初めての方にはNintendo Switchで発売中の「大逆転裁判1&2」が本当に本当にオススメです。オリジナルストーリーなので、他のシリーズを知らなくても話が理解でき、この2作でしっかり完結します。あと、とにかく面白いです*31。いかなるネタバレも踏まずにプレイして驚き、感動して欲しいので、ジャケットすら見ずに目を閉じて買ってください(ムリ)。

①最初にプレイしたのはもちろんシリーズ1作目の「逆転裁判 蘇る逆転」です。たまたま親のスマホに入っていたゲームを小学生の頃に遊んでハマり、そのまま2、3をプレイ。中学生の頃に初めて3DSでプレイしたのが「大逆転裁判*32。その後、4、5、6、大逆転裁判2もプレイしました。

②通常の「逆転裁判」といえば、各話のタイトルに「逆転」とつくのが共通ルールです。「蘇る逆転」、「失われた逆転」、「さらば、逆転」なんていかにもなタイトルもあれば、「逆転サーカス」、「逆転学園」、「逆転マジックショー」、「逆転寄席」なんてかなり「なんでもアリ」感の漂うタイトルも多いです。とにかくキャラクターの個性が強く、何シリーズ出ても飽きない魅力がタイトルにも現れています。

一方、どの作品でも共通しているのが「安直すぎる」登場人物の名前です。そもそも初代主人公が「成歩堂 龍一 (なるほどう りゅういち)」です*33。お陰で主要な人物の名前を忘れません*34。その辺りも各キャラクターへの親しみやすさに繋がっているのかな、と思います。

 

やっと終わりました。ここまで読んでくださりありがとうございます!

改めて言わせていただきますが、僕はずっとこれらの趣味の合う同士を探しています。

もしこれらのものが好き、もしくは少しでも興味がある、という方は是非是非twitter(ID: @D_rive_five)等で連絡お願いします*35

*1:おそらくティータイムと同じアクセント

*2:英語で書くとD-riveなので、「ゔ」のほうが近そうですが、由来(後述)を考えると「ぶ」でもいいような。本人は全く気にしていません。とりあえずは「ゔ」です。

*3:マジで初公開

*4:ここでピンときた方、その予想は多分あってます。

*5:サラッと年齢公開

*6:本当に困る。

*7:後から事情を聞くと、彼は別のパートを担当する子供と同時並行でプレイしていたお父さんでした。

*8:既に1000文字オーバー。

*9:逆に全く観てないのがウルトラマンで、戦隊ものは時々観ます。好きな戦隊は「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」(映画じゃないよ!)です。

*10:平成以降で未履修はクウガ、アギト、ファイズのみ

*11:最近だとエビル(evil)とライブ(live)とか。上手に同じ人物の光と影を表現しているところが好きです。

*12:僕と同世代の人は結構見てたのでは?

*13:僕は敵の個性が強い特撮が好きです。

*14:中には有名な推理小説を彷彿とさせるものもあります。

*15:これが僕のHNの由来です。

*16:最近では毎年何らかの斬新さを感じている気がします。

*17:ちなみに僕の好きなライダー映画第1位は「Over Quartzer」です。納得できたでしょうか。

*18:ザックリ言うと「お嬢様刑事×名探偵執事」です。同じ著者の本だと、「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」(文春文庫)で始まる魔法使いシリーズが大好き。シチュエーションの日常感と設定の非日常感のバランスが絶妙。

*19:中村佑介さんのイラストは他の作品でも見ます。どれも好きです。

*20:ザックリ言うと「癖つよチーム大活躍!」です。大人向けの刑事もの。

*21:ザックリ言うと「天才女医の診断」です。彼女は病気にも不可解な謎にも的確な診断を下してくれます。同じ著者の「神酒クリニックで乾杯を」(角川文庫)も、STシリーズに似たチーム感があって好きです。

*22:ザックリ言うと「数学少女vs数学テロリスト」。いろんなド派手な事件が起きますが、そこまで暗い気持ちにならずに読めると思います。著者の青柳碧人さんは不思議な世界を描くのが得意な人で、他の作品では昔話とミステリーを掛け合わせた「むかしむかしあるところに、死体がありました。」(双葉文庫)などがあります。こちらはちょっとブラックユーモアな感じ。

*23:ザックリ言おうとしましたが、言えませんでした。著者の森博嗣さんの使う比喩が好きです。ミステリーを読んで難しい!となった方は「工学部・水柿助教授の日常」(幻冬舎文庫)シリーズがおすすめです。独特の比喩はそのままに、エッセイ風のストーリー展開になっています。

*24:きっと何年たっても愛されるタイトルでしょう。

*25:「小鳥遊練無」とか、「香具山紫子」とか。正しく読めるかな?

*26:ライブを見たことがないよ、と言う人は嵐の公式チャンネルにライブの映像がいくつか上がっているので一曲だけでも見てみてください!

ARASHI - ARASHI LIVE TOUR 2017-2018「untitled」 - YouTube

*27:テレビで歌われるような曲だとあんまり目立ちませんが、結構ラップパートのある曲が多いのが嵐の特徴です。

*28:「COOL & SOUL」とか「Attack it!」とか

*29:「マスカレード」とか「TWO TO TANGO」とか

*30:逆転裁判」シリーズの主人公3人全員言える人でさえ少ないかも。

*31:プレイ後にある人の名前を叫びたくなります。

*32:誕生日プレゼントでした。

*33:調べると他の案もあったようです。もっと安直です。

*34:それ以前にキャラが濃すぎて忘れようがないけど。

*35:アカウントはこのために作ったと言ってもいい。